ソムニロキスト【コクって何か?】

Twitterでは書き切れない内容をnoteに書くのが主流の流れに、何故か独自のツールで情報を発信してます。
非効率だけど、なんか得も言われぬ満足感がある。

味覚と嗜好のサイエンスという本がありまして。
京大の人気講義シリーズということで、さすがに面白い。

内容は、「ヒトの味覚というのは絶対的な指標でなくて、人それぞれの人生に左右されたり、精神的な要素の影響を受けて構成されているのではないか」という話です。

そこで【コク】とは何か、というテーマがあります。コクには3種類の成分があると仮定しています。

1.原型のコク
2.学習のコク
3.比喩のコク

1.原型のコク
だしのうまさ、甘さや油脂、それそのものが脳みそに直接的に「コク」として強い刺激を与える成分です。これらの要素はコクの中心を担っています。
糖や脂肪や生命活動の根幹なので、脳に無条件で美味しさと快感を与えます。

2.学習のコク
コクの強い料理とは、どんな料理か思い浮かべてみてください。それはどんなテクスチャーだったり、どんな見た目でしょうか。ヒトは「コクの強い食事」を経験することで、徐々にそれらの食事が持つ特徴とコクを結びつけ、学習しています。
例えば、とろみはどうでしょうか。チャーハン単独でも十分ですが、カニ餡かけがかかっているチャーハンには「より強いコク」の印象がないでしょうか。それ以外にも食感では「ねっとり」とか当てはまりそうですね。
ポイントは、学習のコクという成分は【単独ではコクとして機能しない】という点です。餡かけは餡かけでも、単に水にとろみをつけただけのものを食べても何にもコクと認識しません。しかし、コクのある餡かけの料理を幾度となく経験することで、とろみを次第に「コク」の要素として認識できるようになる、という仮説。

3.比喩のコク
これはかなり分かりづらそうで、分かりやすいという不思議なコク。

最後のコクは、食を離れてしまうほどに先鋭化し、拡散し続けます。

料理と思考のサイエンス、第7章81頁

どんなコクかというと、精神的に追い求めるコクのようです。
洗練されきったお吸い物を想像します。そこには余計なものを一切排除した成分しか含まれていませんが、一流のフーディー達(良いドラマやった。。)はこのお吸い物に「ないはずのコク」を感じるようです。

なんとなく理解できそうな感じありますよね。特に日本食というのは洗練さを求めている印象ってすごくあって、上品という言葉が物語ってますよね。
ただ、その上品さの中にあるコクも成分的にある部分とそうでない部分があって、比喩のコクに関しては味わう側にも相当の鍛錬が必要みたいですわ。熟練してないと、そもそも追いかけられない的な。

分かるよね、これは。

これはビールという液体に関して言及すると、何か面白い発見になるでしょうか。
例えば、タンパク質によるテクスチャ-から「甘み」を連想するというのは考えられますし、甘いビールが流行っているの脳に快感を与える点では当たり前の結果かもしれない。

寝言だからこんな感じでやめよ。興味がある方は呼んでみたら楽しいかも🎈

精神から美味しいを持ってくるサイクルと、美味しいからより良い精神を作り出す。
そんなサイクルを作り出せるビールを作ってみたいなー。
美味しいビールは素敵な空間をより素敵にできるし、素敵な会話をより素敵に会話にできる。そこにいる参加者全員のストーリーをもっと鮮やかで色づいたものにもできるかもしれない。

おやすみ~

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]
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