こんばんは!Ble_ちゃんこと谷澤です。
出席番号が後ろから二番目なのに”たにざわ”君と呼ばれることがありました。
さて、今回も以前書いた記事を更新していこうと思います。
前回が麦芽とホップと続いていて来ましたので、今回は酵母についてやります。3部構成という新しい試みをしていたんですね。笑
第一弾は『エールイースト』です。
早速行きましょう!
更新前の前置きを読む。
酵母は英語だと"yeast"、イーストですねイースト。
パンとかピザ生地をおうちで造ったことのある方はあーあれねとなるやつです。第一弾と第二弾を読まれた方はもうなんとなく想像がつくかもしれないんですけども、
麦芽とホップを煮て、パンを造るときに入れるイーストを投入してあげたらビールが造れちゃうわけですね!
【日本では度数1%を超えるビールを家庭で醸造してはいけません。もちろんどんなプロもです。なので、責任はみなさんにありますので重々注意を。】
そんな麦芽とホップをビールに昇華させてくれる酵母についてざっくりした解説をしてみます!
前回の記事は☟から
酵母とは
酵母:酵母またはイースト(英語:yeast)は、広義には生活環の一定期間において栄養体が単細胞性を示す真菌類の総称である。 狭義には、食品などに用いられて馴染みのある出芽酵母の一種 Saccharomyces cerevisiae を指し、一般にはこちらの意味で使われ、酵母菌と俗称されている。
広義の「酵母」は正式な分類群の名ではなく、いわば生活型を示す名称であり、系統的に異なる種を含んでいる。
狭義の酵母は、発酵に用いられるなど工業的に重要であり、遺伝子工学の主要な研究対象の1つでもある。明治時代にビール製法が輸入されたときに、yeast の訳として発酵の源を意味する字が当てられたのが語源であるが、微生物学の発展とともにその意味するところが拡大していった。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
まずはWikipediaで酵母とは、何を言うのか確認しておきましょう。
今見ても広義の意味がピンと来ませんし、狭義の意味では狭すぎませんかという感じがします。
狭義の意味で取り扱う、 Saccharomyces cerevisiaeというのが今回のメインテーマである”エールイースト”のことです。サッカロマイセス・セレビジエと発音してます、僕は。
ちなみにラガーイーストは、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス、あるいはサッカロマイセス・パストリアナスと発音してます、僕は。笑
ややこしいので、とりあえず説明していきます。
酵母の種類
【ビール造りにおける酵母というのは、酵素が分解した麦の糖分を炭酸ガスとアルコールを生み出すもの】
なんですね!
ビールにおいては、酵母が糖をたべて、アルコールと炭酸を出すんだなーくらいでだいじょうぶです!
ビール界を誕生からずっと見守ってくれている酵母くんたちですが、ざっっくり分けると3種類くらいの枠組みに分類できます。
①エールイースト☜ now!!
②ラガーイースト
③野生酵母
Saccharomyces cerevisiae
サッカロマイセス属というのが、発酵でアルコールを出す酵母のことで、それ以外の酵母では発酵を行わない属もいます。発酵というのはエネルギーを得る一つの手段ですので、自分にあったエネルギーの得方を覚えているわけです。
で、セレビジエというのが、個別名称と理解してもらえたらわかりやすいでしょうか。
サッカロマイセス家のセレビジエちゃん、こんな感じでしょうか。
このセレビジエちゃんは古くからパンや酒をつくるのに一役かってきた超ありがたい存在なんですね。主にエールイーストと呼ばれます。
ただ、実際にはこのエールイーストが枝葉に分かれて、US-05とか、WLP064などなど。砂糖は砂糖だけど、上白糖とザラメがあります、的な。
このイーストの特徴はどんなところにあるでしょうか。
発酵温度帯
エールイーストもたくさん種類がありますが、一般的には比較的高め(18~24℃)の温度帯で発酵します。
この酵母は発酵の過程で発生する香り成分(エステル類)が比較的多く、エールビール(上面発酵系ビール)の特徴の一つが香りとなったのも酵母による力が大きいです。
今ではホップの香りが主体となるビールが多いように思えるかもしれませんが、イーストが醸す香りも特徴としてしっかり残っています。
一番有名なのは、ヴァイツェンでしょうか。小麦モルトを使用したビールで、バナナ香やクローブ香がすると表現されることが多いです。それ以外にもセゾンビールも比較的スパイシーでフェノリックな香りが特徴的で、これらは大部分がイーストの働きによるものです。
一般的に高温で発酵させると、これらの香り成分(エステルなど)が多く生成されがちです。その分、余計なものもたくさん出ます。作りたいビールの特徴に合わせて温度管理をするのが非常に大切です。
よく言われるのは、
発酵をきちんと操れたビールはレシピが微妙でも美味しくなる
発酵をきちんと操れてないビールはレシピが絶妙でも美味しくない
本当かどうかは知らん。心構えとして。
上面発酵/Top fermentation
《上面発酵》というフレーズは耳にしたことが多いでしょうか。
これは、酵母が液面上で群れて発酵する特徴を示しています。上記で説明してきたエールイーストは全て上面発酵の酵母です。
上面で発酵することは、ビール作りにおいてどんな特徴となるでしょうか。
酵母の再利用
ビールに限らず全てのお酒は発酵容器があります。
ある平面から発酵容器を区分すると、オープンかクローズかと大別できます。
クローズ:発酵容器が密閉されている
そのままですね。日本のクラフトビールに関して言えば、クローズがほとんどでしょうか。
どうしてかというと、雑菌が入るのが非常に怖いからです。ビールの原料の麦汁は栄養が豊富ですぐに色んな菌が繁殖する可能性を帯びています。
雑菌が入ってしまうとどうなってしまうかというと、本来の味とは異なったビールになります。乳酸菌が入れば、酸っぱくなるし、納豆菌が入れば2層に分かれたゲルができると聞いたことがあります(要審議)。
では、どうしてオープンの発酵槽があるのでしょうか。
一番の理由は「酵母の再利用」に優れているからだと思います。酵母は発酵が活発なときに、浮遊してきます。
どうしてでしょうか。
発酵とは、糖を二酸化炭素とエチルアルコールに変える活動です。すなわち、酵母の周りには二酸化炭素が発生します。活動が活発なときは周りで一斉に二酸化炭素がでるので、それが浮き輪のようになって酵母をもちあげます。
特に上面発酵酵母は温度が高い状態で発酵しますから、二酸化炭素の溶解率も低いです。となると、液体中の二酸化炭素は空気中に抜けようとして、アゲアゲ状態です。
逆にラガーイーストなんかは発酵温度が低く、発酵もゆっくりです。二酸化炭素が急激に出続けるわけではないので、エールイーストほど上面に滞在するわけではないです。
話を戻します。
酵母は、活動が元気なときに表面に浮かんできます。オープン発酵容器はそれを確認して、「拾う」ことができます。つまり、再利用することが簡易なわけです。クローズよりも。
クローズの場合は、下に沈んだ酵母、すなわち活動が一旦おちついた酵母を抜いて再利用するのが一般的です。ですからオープンよりは元気がないといってもいいでしょう。
ラガーイーストは死滅率が低く、再利用しやすいから生産性がいい、と主張しているのを実際に某大手の工場で聞きました。
それは、底に沈んでいるイーストの健康状態がエールイーストよりも良好なことが多いからでしょうか。エールイーストの場合は、沈んでいるのは休憩中だからですが、ラガーイーストの場合は元気だけど沈んでいる場合があります。
あれ?
エールイーストは何が特徴かの話でしたよね。笑
要は、オープン発酵の場合は再利用しやすく、相性いいよ!ということかな。
発酵さえ進んでしまえば、pHや栄養分の少なさなどで雑菌が繁殖することはあまりないでしょうが、クローズよりも注意を払わなくてはいけないのは当然です。
その他
上面で発酵する、というポイントだけでみて何か他にビールと結びつくものがわかりません。
案を募集中です。
発酵期間
エールイーストは発酵温度帯が高いので、活動が激しく、糖分の消費が早いです。
大手のビール(ラガービール)は、冷蔵庫で寝かせる期間(ラガーリング/Lagering)を含めると1.5か月ほどかかると思います。
エールイーストは、早いものだと2週間くらいであがるものもあります。熟成をどんなペースでとるかによって全く違いますが。
発酵が早いというのは、すなわち工場の稼働率が良いということです。
発酵速度が2倍違えば、年に生産できる量がほとんど2倍違うことになります。タンクが埋まっている間は何もできないからですね。
だから小さいブルワリーなどではラガービールに挑戦しづらいです。加えて、ラガービールは「安い」イメージがつきまとっていますから、本来は価格を高く設定しないといけないのに、しづらい現状があります。
個人的にも、ラガービールが2000円/pint だったらわざわざオーダーしない気がします。難しいところです。
まとめ
よし!
これでサッカロマイセス・セレビジエことエールイーストについては終わりにします。
特徴は、
1. 発酵温度帯が高い
2. 上面発酵
3. 発酵期間が短い
くらいでしょうか。形容詞は、ラガーイーストに比べて、となります。
さて、次はラガーイーストになります。こっちの酵母の方が実は興味薄いが多いでしょうか。
僕もそう。笑
頑張って更新します🎈
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