パスタとドライイーストで醸造??【Part.3 醸造から主発酵終了まで】

おはようございます!Ble_です。朝起きることに成功しました。
将来のブルワリーの名前どうしようかな、と悩む毎日ですしたが【痛風醸造】でいきますか!そんなことより醸造についてもっと経験つめよ、って話ですよね。今日も研修しに行ってきます。

それはそれとして、パスタビアは長い時を経てラッキングして飲み終わりという工程を踏まれました笑
味わいを主にして、いったいどんなビールができたのか反省を踏まえて紹介できたらと思います。

ではいきましょう!

準備

何をするにも準備は必要というか、準備しておく方がベターだと思います。
就活で何の準備もせず自信満々に全落ちした僕がいうのもなんですが。笑

では、ビール作りにおいての準備はなにかというと2つに分けられるかなと思います。

①洗浄&殺菌
②レシピ確認&計量

大きく分けて2つ。細かく分けて4つというところかな。
①の洗浄&殺菌が失敗しないためのまず一番最初の関門です。ここをしっかり抑えて先に進みたいですね。

端的に言えば、台所をきちんと綺麗にして、全部の道具をしっかり洗って、殺菌剤がなくて面倒くさかったら熱湯に全部どぼづけして、アルコールかけておく。本当はもっと色々と確認したり、こだわる必要のあるところがあるのでしょうが、別なサイトでもたくさん情報が落ちてますので色々参考にしながら自分なりのやり方を見つけるのがいいかもですね!
レシピの確認と計量はやっておくと今後の反省に活きますので、やっておくといいのかなと思います。ただ5L仕込みにも麦芽を1~2.5kgほど使いますのでちっちゃな量りだと面倒です。加えて、ホップや副原材料は細かい単位まで計量したいので2つ量りがあるといいですね。

今回は、5Lのバッチサイズです。

モルト:全粒粉パスタが500g、2-rowというモルトが1.5kg
ホップ:ザーツ(AA 3%)10gをビタリング。ザーツ(AA 3%)12g、シュパルターセレクト(AA 1.4%)15gをDH
イースト:パン用ドライイースト 3.75g[OG 1.050 ピッチレート0.75 酵母1gあたりに12,5billionの酵母数を想定]

狙った味わいとしては、華やかな清々しいような香りのするドリンカブルなエールを作ろうという感じ。
全粒粉のスペルト小麦パスタによる味わいがどんな感じに出るのか見たかったのでホップ感はなるべく柔らかくしたかったんですが、誘惑に負けてドライホップもしちゃいました。
また、レシピを決める際はまずモルトとイーストから決めるのがいいのかなと思います。OGとFGのターゲットからモルト調整できるならそれに越したことはありませんが、最初は海外のサイトからパクっていくのがいいと思います。
イーストに関しても一緒ですが、計算も簡単ですので是非おぼえちゃうといいと思います。ただ長くなるのでまた別立てしますね。(笑)

パスタの使い方

そもそも出発点がパスタとパン用ドライイーストからビールができるのか、という話でした。
とはいえパスタだけでは含有している酵素量が少なすぎていくらなんでも無茶だな、と。そこでベースモルトをがっつり入れました。なので、あとはパスタをマッシングしてやれば全く問題ありません。

今回はパスタをふやふやになるまで茹でて、ちっちゃいミキサーで細かくしてから、通常のマッシングを行う予定でした。ただ、そのままマッシングに使いたいのと、ポリフェノールの抽出を抑えたかったので低い温度(60℃)で茹でました。

よし、はじめるぞ!のときの画像

それでですね、このときはまだ熱々のパスタをパッキンのついていない壊れたミキサーで砕くことの恐ろしさを理解していなかったんです。あまりの地獄に写真がないのが残念です。

熱々のパスタをスムージー用くらいの小さなミキサーに入れて、ぽちっとスイッチを入れたんです。
『どぉぃいぃぃいぃぃっぃいっぃ!!!!!!』っていう飛んでもない音を立てて蓋から馨しい茶色の液体が体に襲い掛かってきました。パッキンがついていない壊れたミキサーだったことを忘れていたんです。(笑)
やっちゃったわ、と思いつつも『行くしかないよ』という声がパスタから聞こえてきたので四苦八苦しながら全てペースト状にして、パスタ湯を作ることに成功します。
この時点で非常に強いパスタの香りがあって、”あっ、もうこれうまいわ”って確信してましたね。自信って怖い。

今回ぼくは低い温度で茹でましたが、普通の白いパスタなら通常通り沸騰したお湯でやってもいいだろうと思います。後は、小さな鍋でもできるように細かく折ってあげるといいでしょうか。
ミキサーで刻む方が糖化効率は高いと思いますが、面倒なら細かくぽきぽき折っちゃえばそれでいいかもしれません。

酵母量とピッチレート

話は飛んで、発酵まで進みます。一応実際のOGやFGに関しての数値は控えます。
一般的な酵母量とピッチレートについて少しだけ解説して、実際にパン用ドライイーストを使う際にどういう考えのもとで使えばいいかを話してみたいと思います。

酵母量を知る

酵母は乾燥か液体のどちらかの状態で使用されるかと思います。どちらの場合も必要な場合はスターターや加水活性を行ってあげるといいですが、小量のバッチサイズならしなくていいと思います。

ビール用酵母ならば大体は後ろに酵母量が明記されていて、詳しい案内も載っています。
でも今回は日清食品さんのパン用酵母ですので、後ろに酵母量が明記されているわけも、自家醸造についてのアドバイスも載っているはずがありません。
ですので、直接問い合わせる必要がありました。

結果としてはg当たり5~20billion(50億~200億)ほどの酵母が存在していますと。
ということで平均をとって、カメリヤのドライイーストはgあたり12.5billionの酵母存在すると仮定します
もし酵母について前情報も知りたい方は下からどうぞ✌

パスタとドライイーストで醸造??【Part.2 ドライイースト】

こんにちは!Ble_です!色んなイベントに参加するにあたってそろそろフリーターやけども名刺つくってもいいのではないかと思いまして、名刺を作ってみました。それに際して、将来のロゴのイメージとか膨らませてみたり、フレンチオークチップ入手してみたり、と色々やってみました。笑 ...

ということで、酵母量がわかったとして、次はピッチレートですね。

ピッチレートは求める味わいで決定する

ピッチレート / pitch rate とは酵母をLあたりにどれくらい入れるのかというものです。
詳しく言うと、billion/L/°P(プラート)です。これだけではさっぱりわからないですよね。

一番わからないのがプラートだと思うのですが、これは糖度です。どれくらいウォートに砂糖があるのかしらという値です。これは大体比重に変換することができて、1プラートが大体1.004の比重に値します。10プラートならば1.040という具合ですね。一つ注意しないといけないのが、プラートの値が大きくなるほど比重とのずれが出てきますので、信用しすぎないことです。

エール系のビールですと大体ピッチレートが0.5~1.0, 
ラガー系のビールですと大体ピッチレートが1.25~1.75

とされています。今回はオーソドックスなピッチレートで0.75を目指しました。
ピッチレートが低いと酵母の成長が活発(一匹あたりの餌が多い)なので、その分代謝による副産物も多く、エステルやフューゼルアルコールがたくさん生まれて香り高いビールになります。
逆の場合は酵母による特徴が少ないビールになります。どんなスタイル、目指すべき味わいによって決めてみるといいと思います。

使うカメリヤドライイースト(g)=ピッチレート×バッチ量(L)×プラート(°P)÷12.5

これで代用してくれたらいけるかなーと思います。
30gありますので、相当な量のビールが作れるはずです。
 

実際の発酵

前回の記事でパン用イーストの発酵温度帯を調べ、かなり高温で、なおかつスターターする必要もないと書いてありましたので、液温21°でそのままぶっこみました。一晩明けたあとの画像がこちらです。

一晩あけたあとの様子。勢いすごい。

朝起きるとですね、狭い部屋ですので、何かこうビールの臭いがするわけですね。
およよ?と思って収納を開けると、こうでした。嬉しいやら悲しいやら。実際は嬉しいよりですね。
発酵は全く問題なくて、むしろ元気がかなりあります。ですので、みなさんも初めて醸造に手を出したいというときには安価ですのでこちらのドライイーストで感覚を掴むのは非常にいいと思います。
凝集性も悪くないし、きちんと沈んでくれます。すごいや、日清!!(CMいつでも待ってます)

実際の出来

この後、発酵が終了して、すこし寝かせて、ボトリングしました。
プライミングシュガーといって、瓶の中にすこし砂糖を入れてやることで新たなに発酵が進むので、二酸化炭素を加えることができます。シャンパンのような作り方です。

で、実際に注いでみた画像がこちらです。

ボトリングして1週間後の様子

おおおお。ビールだビールだ。と嬉しくなる瞬間ベスト1が注いだときですね。
ポリフェノールが普通より多くなったせいか、パスタの小麦由来たんぱく質のせいか、泡持ちがだいぶ良かったです。
結構濁っていますが、これはたんぱく質とじゃなくて、ホームブリューの質の問題ですね。笑

いろんな方がクリアにホームブリューされてますが、本当にすごいなーと思います!!

香りはクラシックホップの華やかで柔らかいミカン香が立ち上がります◎
が、味はすこーしだけ酸味がひっぱります。ポリフェノール抽出を怖がって、ちょっとpHを下げすぎたかもしれません。香りとのバランスでそう感じやすい可能性もあります。
総評としては、☆☆☆★★星3つ!笑

酵母やパスタは悪くないんです。腕が悪かった。でもきちんと調べて、きちんとビールになったということは実験としては大きな一歩でした。
パスタ感の残る味わいになるかと思いきや、まったくそんなこともないし、逆に高評価してあげてもいいか。
香りは抜群でしたが、酵母由来なのかホップ由来なのかは難しいですね。
というわけで、インスタントドライイーストやパスタで十分ビールができます!

なんなら麦芽がないなら麦茶とパスタと砂糖、ドライイースト、香りづけには好きなハーブやミカンの皮とかをぶっこんんだら昔昔のビールになるんじゃないでしょうか!(グルートと呼ばれるホップの前駆体的なものを使用したエールですね)

僕はやりませんが、どなたかやられましたら是非感想などを教えてください!(笑)
以上、パスタビールの報告でした。

長らく更新してなくて本当に申し訳ありませんでした!
みなさんの温かいお言葉なしにはこのパスタビール君は忘却の彼方へ吹き飛んでしまうところでした。ありがとうございます。
また何か面白い企画があればやっていきたいと思います!
案も大歓迎です。なんでも実験したり調べものしてみます🎈

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]
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