こんにちは!国立高校出身やざわです。
寝ようと思ったら、寝付けなかったのでどうせだから記事でも書いてみようかなと。
テーマは【ホップの渋み】
Dry hopをたくさんするビールで感じたことはないでしょうか。
大根おろしっぽい、草っぽい、なんだかんだ。
ということで、その原因の一部を解消できる可能性のある方法を簡単に紹介してみようと思います!
では、早速いきましょう!
Dry hop 由来の渋みって?
そもそも渋みといっても色々ある。
Polyphenol, hydrocarbon compounds, 酸化したα酸, などなど。
だが、dry hop ということに関して言えば、hydrocarbon compounds が大きな役割を占めるかなと思う。まずpHが低いから、polyphenol は溶けづらいし(濁りはするけども)、酸化したα酸は単純に苦いのであって「草っぽい渋さ」とはちょっと違う気がする。
ということで、Dry hop したビールに大量に溶け込んだhydrocarbon compoundsが渋さの原因になっているとここでは想定します!また、特にhydrocarbon compounds の中でも松ヤニっぽいと揶揄される成分が、myrceneです。(Kirinのdiphopの説明でそんな感じ)
Dry hop 由来の草っぽい渋み: myrcene
Hazy IPA はmyrceneが増えやすいレシピ
普通のIPAよりも、Hazy IPA飲んだときのほうが草っぽい渋みを感じるのは僕だけでしょうか。
実は、Hazy IPA はレシピ的にこの渋み/myrceneが増えやすい可能性を秘めています。
その理由は、【たんぱく質、polysaccharideが豊富】 【大量のドライホップ】
そぐわないレシピもあるんだろうけども、僕が想定しているHazy IPAはこれ!笑
Grain由来のproteins, polysaccharides
みんな大好きHazy IPAは、『トロッ』とした口当たり/mouthfeel が特徴でもありますね。
海外では、juicy と表現されてますか。これは、何由来かご存知でしょうか?
トロッの要因:たんぱく質、デキストリン、β-glucan、水質(cl-)、など
一般的にmouthfeel が増加する要因は上のようにあげられます。
他にも、glycerol、polyphenolなんかも粘度やmouthfeelと相関関係があることがわかってきています。水質とポリフェノール以外は大体Grain(穀物)由来。
今回注目するのは、たんぱく質とpolysaccharide(多糖類)です。
この二つは、普通のベースモルトでも若干出るんですが、もっと出やすいgrainsがあります。それが、
- Unmalted grains
- Under-modified malts
の二つです。
1は、Flaked oatsだったり、Flaked wheat, Flaked barley などなど。
2は、あまり耳馴染みがないかもしれませんが、Chit maltというものがあります。あえて発芽工程を理想よりも早い段階で終わらせます。
よくHazy IPAで使われるものとしては、Flaked oats、Flaked wheat でしょうか。oatsの方が多い印象ですが。特にFlaked oatsは豊富なたんぱく質とβ-glucan(polysaccharide)を供給してくれます。
proteins, polysaccharides はmyrceneを閉じ込める
Flaked oatsなどで供給されたたんぱく質と、β-glucanは様々な物質をビール中から離さないようにする性質があります。それによって起きることは、揮発性の非常に高いmyrceneが多くビール中に残存するということです。
揮発性の高いmyrceneは、CO2の影響も相まってビール中から飛んでいきやすいです。
しかし、これらを掴んで離そうとしない奴らのせいで、myrcene由来のgreenな渋みが残りやすいです。
Dry Hop
Myrceneの揮発性は、煮沸工程ではいとも簡単に飛んでいきます。
しかし、発酵が終了していて、CO2もそこまで活発じゃない段階での投入となれば、そもそもmyrceneが残りやすいはずです。
もともとmyrceneの含有量が多く、oil量も多いやつ: Citra, Mandarina bavaria, Amarillo などを大量に使用したら、当たり前だけどmyrceneは多く残ります。
心当たりあったらちょっと見直してみるといいかもですね!
改善策
ここまで駆け足でmyrceneが残りやすい説明をしてきましたが、本題はここです。どうやって、渋さを抑えることができるかを考えていこうと思います。
渋みを抑える案
Dry hop から改善
Flaked oats(など)の分量を改善
Pitch rate をあげる
その他
それぞれ駆け足で考えていきます。
Dry hop から改善(経験推奨)
ようは、myrceneを減らせばいいだけなんですね。なので、考えられることも限られてきますね。
- myrceneの少ない品種を選ぶ
- そもそも使用量減らす
- タイミングを考える
最初の2つはいいとして、タイミングについて少し考察してみたいと思います。
Dry hop と言ってもタイミング、浸漬時間ももろもろです。浸漬時間に関して言えば、長くつけておくと渋くなりやすいんですが、それはmyrceneというよりもポリフェノール由来の渋さな気がしますね!
発酵中に漬けこむとどうなるのかというと、kirinのdiphop製法でデータが出ていましたが、myrceneの量はぐっと下がっていました。これはCO2による揮発と、酵母がmyrceneを吸着したという2つの方面から起きた結果かな。
じゃあ発酵中にやったるか!となるのもいいんですが、発酵が活発なので、それ以外の香り成分も飛んでいきやすいです。
この辺はそれこそ実験を薦めます!笑
attenuation 40%のときにドライホップしたらよかったよ!とか、みなさんで最強の教科書作りましょう!笑
Flaked oats(など)から改善
これも、改善点といえば、量を減らす!ということしかない。
でも、oats由来の風味だったり、独特の甘さをビールに乗っけたいわけで、単に減らしちゃあね。
ということでそもそもの原因に戻ってみます。
タンパク質とβ-glucanがmyrceneを閉じ込めるからいけないわけで、これらを分解してやるのはどうでしょうか。
β-glucanaseはproteaseと同じ温度帯で活動しますから、protein restを少しだけ取るというのはどうでしょうか。
例えば、50℃ 8分とか!笑
笑ってばっかりなんだけど、これも要は仮説検証を繰り返していくくらいしか見えません。
僕もなるべく多くのデータ集めて、素晴らしい結果になったら報告しますね!いつになるかわかりませんが。
Pitch rateをあげる
打って変わって明瞭になりました。
myrceneを酵母が吸着することを先も書きました。発酵も活発になりますから、発酵初期にdry hopすると秒でmyrceneと共にいろんな成分が飛んでいきそうです。
ただ発酵終了時にもmyrceneは少しずつ吸着されるようなので、pitch rate(投入酵母数)を増やせば発酵終了時にdry hopしたものでもmyrcene由来の渋みは抑えられそうです。
実際に、The new IPAの著者が二つの同一なwortをpitch rate だけ変えて、仕込んだようです。
pitch rateの差はちょうど2倍。ドライホップは8g/L くらいしたようです。結果は、10人中9人がpitch rateの高かったビールの方が美味しいとなったようです。
pitch rate が低い方は、やはり草っぽい渋みが出たようです。
その他
その他の案は絶賛募集中です!🎈
とりあえず、やざわも一つ案を乗っけておきます!
・酸化したホップでDry hopする
Agingすることで、hopというのはmyrceneの量がどんどん減っていきます。1980年代の実験で、Cascadeを冷蔵庫で1年間保存したらばmyrceneは98%も減少したそうです。
ですから、ドライホップする前にすこしagingさせておくっていうのどうですか?
まとめ
いかがだったでしょうか。
myrceneという成分に絞って、話を進めてきましたが、ホップの話は奥が深くすべてmyrcene由来と片付けるわけにもいきません。しかし、的を絞らないと仮説も立てることすら難しいですよね。
今回の記事で何か新しい仮説や改善点が見つかって、美味しいビールを作ることに貢献出来たら最高です!🎈
よし!もう寝る!笑
おやすみなさい~
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