【2021年春】ホットなホップ3種を紹介

【2021年春】ホットなホップ3種を紹介

こんにちは!
antelopeの谷澤(やざわ)です!少しずつ2021年も暖かくなってきて、僕たちもいよいよ本格的に醸造する日が近づいて生きている今日この頃。今日は世界で今まさに注目を集めているホップを3種類紹介します!

  • Nectaron/ネクタロン
  • Talus/タラス
  • Eclipse/エクリプス

以前したホップ紹介の記事はこちらです👇

【ちょっと古いけど】ホットな厳選6ホップ【紹介】

興味があれば、これらを使用したビールを飲んでみてください🙆
僕たちの活動についてはこちらをどうぞ~🙆

Nectaron/ネクタロン

ネクタロンは南半球の新しいホップ。

"ネルソン・ソーヴィンが登場したときの衝撃と比較すると、このホップはNZ-ホップをこれから引っ張っていきそうな気がする"
"はっきりとしたフルーツの熟した匂いで、本物の果物みたい"
"単体でもいけるが、モザイクやネルソン・ソーヴィンと組み合わせてみたい"

などのコメントがあります。ネクタロンの成分的な数値は、以下のようです。

  • α酸9.5~11%
  • β酸4.5~5%
  • oils 1.7ml/100g

数値的にはアマリロとかコメットに似たような感じで、フムロン割合が高ければよりコメットに近くなりそうです。米シカゴにあるHop Butcherが、InteroceanというネクタロンとモザイクでドライホップしたIPAをリリースしました。ざっくりですが、ネクタロン(12g/L)、モザイク(1.5g/L)でドライホップしてるみたいです!


"ドライホップした瞬間に醸造所内にいた人みんながブルーラズベリーの匂いを感じたんだ"
"それに加えて、パッションフルーツ、トロピカルフルーツ、大量のピーチが混ざり合った匂いがしたよ"

プロの醸造家の意見を聞くに、すごくはっきりとしたフルーツを感じるようですね。南半球のホップはトロピカルな表現が多いですが、土地柄的にそういうホップが育ちやすいのかもしれません。単体でもビールの軸を作れるような香りを持っているようですが、そこにシトラやモザイク、もう少し変化を加えたいならエルドラドや同じ南半球のモトゥエカを加えるのもお勧めされています!

Talus/タラス


二番目のホップはアメリカのタラスです。

タラスはヤキマホップからHBC692というホップで登場しました。HBCというのは実験的なホップシリーズで、商用利用の価値が認められるようになると名前が付きます。みなさんの大好きなモザイクホップも昔はHBC369という名前でしたし、シトラはHBC394でした。HBCシリーズで名前がついたのは、サブロー、パフトに続きタラスが6番目になります。ヤキマホップはプロファイル情報が非常に豊富で、タラスに関しても多くの情報が記載されています。

  • a酸 8.9~9.5%
  • β酸 8.3~10.2%
  • oil 1.0~2.2ml/100g

オイル構成は、ミルセン普通。フムレン、カリオフィレンも普通(気持ち高め)、とオーソドックスなアメリカンホップな感じです。ビタリングで使うと少しアーシーな感じが出そうですが、まさにホッピーな感じっぽい。ドライホップをたくさんしても青くなりづらいかもです。香りのプロファイル的にはフローラルでシトラシーな感じですね。また、α酸とβ酸の比率が同じくらいというのも特徴の1つです。ラガービールや熟成系のようにホップを使用してから飲むまでに時間がかかるスタイルは少しずつβ酸の酸化によって少しずつ苦味が増してくる可能性があります。

"HBC692は、我々が持っているプロファイルデータの中でも最も香りの強い品種の一つ"

と紹介されているくらいですから、すんごいんでしょうね。このホップは日本に入ってきていたはずなので、飲む機会や嗅ぐ機会が多いかもしれませんね!また、タラスはサブローというホップを親に持っています。ホップは親と子の特徴に関係性は全く関係ないと言われているのですが、タラスとサブローに関してもそのようです。

"サブローは力強い香りすぎて、別のホップと一緒に使うのが難しい。"
"その点、タラスはもう少しクリーンで、フレッシュなフルーツのよう。"

とストーンブルーイングのブルワーも仰っているようです。シングルで使っても良いし、アクセントにしても良いし的な。汎用性高い。タラスは栽培量が一気に伸びると予測されているので、これからはアメリカをはじめとしてクラフトビール業界でもどんどん使用頻度があがってくると思われますね!

Eclipse/エクリプス

eclipse は英語で「日食」の意


三番目のホップはエクリプスです。

エクリプスは、HPA/Hop Product Australia という会社から登場した南半球産のホップです。最近名前の付いたホップですが、元々はHPA016という実験的なホップでした。本当はHPA035という品種のプロモートを行っていたそうですが、オーストラリアの熱狂的な関心はHPA016の方に向いたみたいですので、見事HPA016が商用利用されて拡大されることになりました。

エクリプスの数値は以下のようです。

  • α酸 15.7~18.7%
  • β酸 5.9~9.0%
  • oil 1.7~1.9ml/100g

α酸が高めになってきているホップ界でも、結構高めのa酸量です。ワールプールで使う際は温度と時間のコントロールをしないと予想だにしない苦味をビールに与えてしまう可能性があります。Colonial Brewingによれば、"エクリプスのシングルホップで作ったIPAは、トップには優しいトロピカル香がきて、オレンジマーマレードのようなテイストと共に綺麗なフィニッシュに繋がる"そうです。とても複雑な特徴を活かすには、是非シングルが良いみたいです。気になる!

ちなみに、遺伝子的には同じ南半球ホップのギャラクシーを親に持ちます。HPAで販売されているオーストラリアホップではギャラクシーに続きビックシークレットの販売数量が多いようですが、近い将来このエクリプスが3番目まで上がってくるのでは?と期待されているようです。その証拠に、ギャラクシーは登場した年の栽培量がたったの6tだったのに対して、エクリプスは登場した2020年に24tも栽培されています。今後も順調に成長し、2023年には100t以上の収量が予想されています。

おまけ - その他のホップ -

お疲れ様でした!
以上で流行のホップ3選を終わります!Nectaron/ネクタロン、Tarus/タラス、Eclipse/エクリプス、の3種類です。一つはアメリカで、二つが南半球産でした。元々はネルソン・ソーヴィンから流行り始めた南半球のホップという印象でしたが、ギャラクシーやビックシークレットのように世界的に採用率の高いホップもどんどん登場しています。ネクタロン、エクリプスもその流れに乗ってグングンと流行っていきそうですね!

さて、あとは紹介しきれなかった枠としてのホップもいくつか紹介しようと思います!

Hopsteinerの新ホップ

ホップシュタイナーから出た新作のホップを5種類とブレンドを1つ紹介します。ブレンドホップは、コーヒーのブレンドと同じイメージです。醸造所内で混ぜればいいじゃないかと思われる方も多いと思いますが、在庫や酸化管理をいちいちしなくて良いですし、再現性も高いので気に入ったブレンドが見つかればとても有用です。

  • AKOYA(ドイツ)
  • ALTUS(アメリカ)
  • CONTESSA(アメリカ)
  • LOTUS(アメリカ)
  • SOLERP(ドイツ)
  • TRIDENT(ブレンド)

個人的にはcontessaが気になっていて、a酸が3~5%と低いのにoil量が0.8~1.9ml/100gと多い品種です。ハーバルな印象が強いということで、イングリッシュ系や紅茶っぽいイメージのものと相性が良いのかなと思います。

今はヨーロッパやアメリカ、南半球と各社から色んなホップが出てきますので、選ぶのが楽しくてしょうがないですね!よくわかんないし、一発使ってみるか!もありですし、評価の高いレシピを真似して感覚を掴むのも有りですし、お客さんと一緒にクンクンするだけでもいいですし。とにかく楽しんで、これからのホップ産業を応援していきたいですね🙆

質問や分からないところなどありましたら、コメントでもTwitterのdmでも気軽に聞いて頂けると幸いです!
真摯に答える様に頑張ります!笑

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]

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