Smoothie styleってなんだろう【スタイル紹介】

Smoothie styleってなんだろう【スタイル紹介】

こんにちは!
antelopeのヤザワです!

クラフトミードという新しいスタイルの紹介もどんどんしていきたいのですが、今回はクラフトビール業界でホットなスタイル【Smoothie】を紹介してみようと思います。2018年くらいのスタイルですが、日本には2021年になって少しずつ広がってきているような、そんな印象です。僕も始めて飲んだのが2020年末とかだったと思いますが、衝撃的でした。。。

テクニカルな話はまだ広まっておりませんが、色々と紹介してみたいと思います!

ちなみに、滋賀県にいらっしゃった場合は「Mi casa」という石山駅から徒歩すぐのビアバーにsmoothie styleた~くさんあるので是非!

Smoothie style って?

朝に飲むとQOLが上がっちゃう、スムージー。好きなフルーツとミルク入れて、たまに野菜なんかいれちゃったりして、ぐいーんってする奴。他にも、カラオケとかにあるフローズンドリンクみたいなやつとか。そういう「ドロドロした」濃厚な味わいをお酒で表現しちゃったのが、スムージースタイルです!
実際にとろとろしてて、よく振ってから飲みます。

元々は2018年くらいからアメリカの東海岸で流行り始めたみたいで、サワービール(すっぱいビール)に大量のフルーツピューレをぶち込んで作っているみたいです。フルーツの組み合わせ意外にも、副原材料でバニラとかシナモン、色んなものを使って分厚い味わいを作っているのかな~という印象です。

ビールとしてモルトを50%くらい使うスタイルもある中で、ハードセルツァーのようにモルトを一切使わないスタイルも出てきました。どちらの利点もあると思うので、作れる味わいの幅が広そうです!!
文章で書いてもあれなので、とりあえず何個か紹介してみようと思います!

Wiley Roots Brewing:"A Visit From the Fruit Lady"

Wiley Roots は、米コロラド州に位置するブルワリーです。色んなフルーツサワービールを作っていますが、スムージーサワーを作り始めるきっかけとなったのは"SLUSH"というシリーズです。

slushy というフローズンドリンクがあるらしくて、ヘッドブルワーがくっそ好きみたいでそれを再現したのが、slushシリーズ。フェストかでは、slushy machineというぐるぐる回転させてフローズンドリンク作る奴を用意して、本物のslushyみたいにこのビールを振る舞ってみたい。それがくっそ人気だったみたい。
徐々にアメリカでスムージースタイルが流行ってきて、友達ブルワリーから色んなスムージースタイルのビールをプレゼントしてもらって刺激を受けたのもあるし、「もっとフルーツの量増やして欲しい」という要望もあって、2020年2月に"A Visit From the Fruit Lady"というスムージーサワーシリーズが始まりました。

画像はsuper ver. になっていますが、通常のやつも本当にスムージーみたいらしい!
主発酵後にフルーツの果皮まで含めたピューレを全重量の40%以上もぶち込んで作るので、すっごい濃いんでしょうね。使うフルーツは、同州にある「Source of Nature」という食品会社のピューレを全量使用しているので、そこの社長がシリーズの名付け親になったそう。

ストーリーとか色々込みで、個人的に一番興味があります!🙌

Funguys Brewing:"Lunchbox"


Funguys Brewingは、ノースカロライナ州にあるブルワリーです。
「ピーナッツバター&ゼリー」というアメリカではPB&Jと略される定番のスムージーをビールに変えたシリーズがありまして、それが”Lunchbox”シリーズです。ピーナッツバターと大量のフルーツを使っているようですね!

PB&Jそのものは、僕は食べたことがないですが、味の付きやすいでしょうか。しょっぱいの、甘いの、みたいな。笑
もともとは、サンドイッチでピーナッツバターとフルーツジャムを塗ったものが始まりだそうで、徐々に飲み物としての確立されて、最終的にはビールになりました🙌

こちらもすごい濃さなのが一目瞭然で、画像の真ん中下のやつは泡の後がとんでもないことになってますよね。

Omnipollo : "Tropical Smoothie Hard Seltzer"


 

最後は、ビールではなく、スムージースタイルのハードセルツァーです。ハードセルツァーは、ビールの麦芽が砂糖になったものと考えてもらえると分かりやすいです。もっと分かりやすく言うと、缶チューハイ的な飲み物です。

オムニポロはクラフトビール業界で有数の知名度を誇るブルワリーで、常に色んなスタイルを生み出して消費者を楽しませてくれます。そんな彼らが今回作ったのが、トロピカルスムージーハードセルツァー。パイナップルと桃とパッションフルーツという、THE・トロピカルみたいなフルーツを大量投入した後、ラクトースとバニラでミルク感を演出しています。サワービールとの違いは、乳酸発酵させてないことや、麦芽の風味がないこと、などありそうです!

度数6%。
オーツなどを使っていないので口当たりはさらっとしてそうですが、画像を見てる限りはそうでもなさそうです。フルーツ恐るべし。

 

シンプルな作り方なので、日本でも流行りそうですね

作り方とポイント

スムージーサワーやスムージーハードセルツァーのように濃厚なフルーツ液体にする方法は、シンプルです。とにかく大量のフルーツのいれることです。アホやな~って言われるくらい大量にフルーツを入れれば、それなりに濃くなると思いますが、ポイントもあると思うので紹介できればと思います。

フルーツについて

フルーツで気になることは、量、投入時期、フルーツの状態、でしょうか(他にもあれば、追記します!)。


ワイリールーツのレシピを参考にすると、フルーツは全重量の40%以上を使うのが良さそうです!
*1L発酵させているビールに400gのフルーツを投入しても、フルーツ30%くらいの重量比になります!ざっくりですが、1Lのベースに700gのフルーツを投入すると、割合的には40%ほどになります。

投入時期
ほとんどのレシピで、主発酵後にフルーツを投入しているようです。シンプルにフルーツの主張を強くするにはそれが分かりやすいですから、初めての場合はそれに習うのが良いと思います。主発酵後にフルーツを入れる利点は、味わいが直感的に作りやすいこと、甘味のコントロールがしやすいこと、pHやアミノ酸量の変化の影響が少ないこと、など上げられます。その反面、再発酵が起こりやすい、アルコール度数の測定が難しいこと、など良いことづくめじゃないです。
個人的には発酵中にフルーツを入れるメリットこそが発酵の醍醐味だと思っていますが、何事もバランスが大事ですので、慣れてきたらフルーツの投入割合を主発酵後100%から、発酵中30%:主発酵後70%とかにしても楽しいと思います🙌

フルーツの状態
よくビールの醸造で手作業でフルーツを加工しているのを見かけますね。ただ、スムージースタイルのレシピではピューレを使うことが多いようです。使用量が多く手作業での加工が大変すぎることもあると思います。ピューレは皮まで使っているやつの採用率が高そうですが、まさにスムージーって感じです。また、熱殺菌をしていないタイプのものも多く使われています。”なるべくフレッシュ”という心意気でしょうか。ただ、個人的には非加熱のピューレは怖いので、最初は熱殺菌をしているものを使うのが良いと思います!

再発酵

主発酵が終わった後にフルーツを大量投入すると、糖分を再び見つけた酵母が再発酵しやすいです。温度帯、pH、アルコール度数など色んな要素があるのですが、再発酵が起きたときの対策を考えます。

温度を落とし続ける
とにかく凍らないレベルで冷やす。発酵タンクやBBTで冷やしている場合は滓引きがタンク移送で酵母量を減らして発酵を止めることもできます。問題点は、詰めた後も消費する直前まで冷やしてもらうことを徹底してもらう必要があること、再発酵によるダイアセチルを取り除けないことなどです。滓引きをした際にフルーツの大量ロスなどもありそうです。

亜硫酸の使用
ワインなどで使われる亜硫酸ナトリウムを使用して、強制的に発酵を止めます。使用量はpHと相関しますので、測定・測量はきちんとしないといけません。お湯でよく溶かしてから投入するのが個人的にはお勧めです。

放置
ハイアルの場合やpHが極端に落ちた場合に限り、放っておくというのも考えられます。使用しているイーストが環境負荷に耐えられず、そのうち再発酵が止まる可能性があります。ただ、本当に止まったのかどうかをじっくり見ないといけないので、せっかちな人はやめた方がいいかもです。

アルコール度数の測定

蒸留器でアルコール度数を測定している場合は比較的問題なさそうですが、比重の落差で推定している場合は要注意です。主発酵後にフルーツを大量投入した場合は比重だけじゃなく、体積も変化するので計算が複雑になります。

【イメージ】
abv5%, SG1.020, 100Lのビールに100Lのフルーツを投入。
SG1.060まで上昇し、FG1.030まで再発酵した場合。
abv=(abv5%/2)+0.030*131.25≓6.5%

これはあくまで僕の勝手なイメージで、フルーツの水分量とかを計算しないとまともな値はでないですし、まじで参考程度にしてください。笑
フルーツ使って再発酵したら、蒸溜で分析するか、高級なアルコライザー使うのが良いと思います!

おわり

お疲れ様でした!
スムージースタイルのビールは今後も沢山出てくると思うので、シンプルに飲んで楽しんでもいいと思いますし、作ってみたい!となった方は海外のレシピを参考にすると楽しいと思います🙌

また、海外では異なるスムージースタイルをみんなで混ぜあいっこして楽しむ、という遊びも流行ってるみたいです!
醸成的になかなかやりづらいですが、楽しいことは間違いないですので、いつか僕たちも自由にワイワイとやりたいものです。

ではでは、GW明けも頑張っていきましょう🙌

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]

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