Hop tea, Spice tea【香りの抽出をイメージできるか】

Hop tea, Spice tea【香りの抽出をイメージできるか】

こんにちは!Ble_ちゃんこと、やざわです!
2019/11/11にこの記事を更新しています。約1年を経て、どんな考え方になって、どんな変化が起きているのかを自分でも確認しながら進んでいきたいと思います。基本的には原文はそのままで、訂正や追加情報があれば追記できたらと思います。

本当はhop tea のところまで前回は終わっていたんですが、あまりにも短いので追記して内容を広げています。
では、早速行きましょう!

抽出:Exploring new Ingredients with Tea

さて皆さんは普段からどれくらい紅茶を飲みますか?
Tea といえば、紅茶と海外の人には認識され、緑茶というと Green tea と言いますね。ただ、アメリカで Green tea というと、甘い物が出てくるそうですからよく確認する必要がありますね。
紅茶を毎日飲むと風邪にかからないとも、一緒に働いている人から教えていただきました。カテキンでしょうか。風邪の季節ですから皆さんも紅茶を飲むと良いかと思います。

ここからブルワーになりたい人やビールに興味のある人にしか興味のないかもしれない内容になります。ただ、僕個人としては、どんな料理や飲み物も原料やプロセスについて学ぶとより面白く、より好きになるんじゃないかと思っています。
なので、ビール文化の広がりを心から祈る自分はみなさまに細かいことなんかもしってもらえたら幸せです。

新しい原料は、紅茶にして試してみよう!という感じの内容です。
使ってみたいとおもったら、まずはお湯で抽出してみて、香りやイメージ、さらには組み合わせまで想像できるレベルまで実験してみると楽しいですね。
(←紅茶のようにお湯で浸漬抽出することをHot Steeping と言ったりします。逆に水で抽出する場合はCold Steeping といったりします。香りや抽出しやすい物質、抽出したくない物質などを理解して方法を変えることもよくあります。気になる方は勉強してみると面白いと思います。)

ピンとこないかと思う人も多いと思うので、まず今から話すこの話題についての背景を話してみたいです。

ビールの原材料は、麦芽、ホップ、酵母(イースト)、副原材料の4つです。

今回話す原料はこの麦芽(モルト)、ホップ、副原材料についてです。
これをHot Steeping してみましょう、という内容です。副原料は基本的に何でもいいのですが(果実、野菜、糖類など)、さまざまな実験方法があると思うのでピンときた方法で試してみるのがいいでしょうか。
そもそも原料の特性をなぜ知っておくといいのかといいますと、これは非常に簡単なことで、新しいビールを創造する可能性が増えるからなんですね。

わかりやすくいうと、遊戯王で新しいパックがでたら、今までのカードとの組み合わせもどんどん創造されていくわけですよね。
(←1年前ですから、こういう例示も出していました。別な例示もあげていたんですが、色々と恥ずかしくなったので消しました。笑)

そんな感じで、新しい原料、使ったことのない原料がちかくにあるときビールを造る人たちはわくわくしちゃうんだと思うんですね。

Hop Tea/ホップの香り

500mlの水に、60グラムのモルトシロップと2粒のホップペレットを投入。よく混ぜて、レンジで1分チン。

これが、今回のHop Tea の作り方です。
こうすると、ホップの香りはドライホップしたときとだいぶ似ているので、ホップの香りを確かめるには非常に良いよいです。2粒のペレットが大体1gですので、2g/Lくらいでしょうか。使う範囲に合わせて、量を変えてみるのも面白いかもです。
(←Brew Your Ownあるいは、How to Brew より出典のはずです。ドライホップよりもワールプールホップだったり、レイトホップと近いんじゃないかって気がしますね。)

どうして香りが近いかというと、熱による香り成分の揮発が抑えられるからでしょう。1分ですからね。苦みもそこまで出ないと思いますが、ホップ単体が苦いのでペレットを含めば苦いことは間違いないです。
ちなみにモルトシロップがない場合は、モルトを実際に65度のお湯で60分煮て簡単ウォートを作ることでシロップを混ぜたものと同様のものができます
(←簡単ではないですね。粉々に粉砕したモルトを67℃で60分放置するくらいなら、もうちゃんとビールにまでしてあげてほしいです笑)

こうして、たくさんの原材料の組み合わせが自分の中で知識として体系化されていくんでしょう。実際にビールを造ってみるのは結果をみるまでに最低でも2週間は待たないといけないので、こっちの方がおすすめされているわけですね!
それ以外にも色んな実験が出来ると思いますし、やってるいる方もたくさんいるようです。温度と抽出時間、pH、水質、品種などたくさんのデータを是非共有して欲しいです!笑
冗談のようでかなり本気ですので、ビアギークのみなさん、待ってます。

Spice Tea/スパイスの香り

ビールにおいて香りの主役はホップであることが多いシーンですが、それ以外もたくさん香りを追加できるアイテムがたくさんあります。その一つがスパイスですね。
以前にスパイスの使い方に関して、記事を要約したものがありますので興味がある方は覗いてみて下さい。
内容は、『少ない量から使ってみて』ということです。

Steeping:温度による抽出の違い

Steeping: steep[浸す]の進行形、浸すこと。

原材料をお湯や水に浸すことで香りや味、あるいは栄養素を抽出する作業のことです。HotとColdがあります。
Hot Steeping の代表例といえば、紅茶ですね。
Cold Steepingの代表例といえば、水出しコーヒーでしょうか。

両者ともによく見かけますが、その差は一体なんでしょうか。違いを学び、実践に活かしてみましょう。ちなみにモルト限定で話は進みます。
以下の記事を参考にしています。

Steeping & Soaking Grains - Brew Your Own

Steeping is the soaking of specialty malts, grains, and spices in water to extract flavors and aromas that we want to incorporate into our beer. It is, in essence, the making of a cup of tea. However, what is the best way to do this? Many different methods are used, and all have their proponents.

Hot Steeping:お湯抽出

まずはお湯で抽出する方法を見てみます。
記事では、3種類のモルト(C40,C120,roasted malt)をそれぞれ時間、密度、を変えて様々な数値を計測したデータを上げてくれています。モルトは差異が出来にくいように、非常に細かく砕いて使用します。
ポイントをまとめてみます。ただ、データのみから考えていたりもするので、色んな側面が感じられると思います。他人の考えがデータを覆ってしまうこともありますから、気になる方はまずデータのみ睨んでみて下さい

  1. 抽出時間は長い方が糖分は多く抽出される。
  2. ロースト具合が弱いほど、多く糖分が抽出される。また、抽出にかかる時間も早い。
  3. pHは麦芽の色が濃さと抽出時間の長さに比例して、下がる。
  4. Hot Steeping と Boiling を比較すると、Hot Steeping の方が官能検査的には◎

こんな感じかな。わりかしどれも重要でしょうか。

pHから考えること

そもそもどうしてpHが下がるのかというと、割と色んなところで話していますが、簡単にまとめます。

どの麦芽もpHを5.0以下まで下げる能力が備わっている。
麦芽はpHに対するバッファー効果(緩衝材)のある物質も持っている。そのため、マッシュは5.3~5.5くらいに収まることが多い。
ロースト具合が強くなると、バッファー効果のある物質が壊れる。そのため、濃色麦芽を使用するとpHは下がる。

諸説ありますが、一般的な理解はこんな感じなはずです。
木炭などは高温で焼かれる方がアルカリ性になるみたいですから、一概に焦げたらpHがどうなるというのは結論づけ出来なさそうです。

さて、それではpHについて考えてみます。
一般的にビールを造る際の水質には、アルカリ性のものはあまり好ましくないとされています。一つはポリフェノールが多く抽出される環境だからです
もう一つは、味わい的にはなんか嫌な感じがするって感じです(曖昧だけど、本にそう書いてあるんだから仕方ないのだ)。

しかし、ことスタウトなどの濃色ビールに関して言えば、逆にアルカリ性の物質を混ぜて水質を調整します。どうしてかというと、pHが逆に下がりすぎてしまうからです。下がりすぎると下がりすぎるで、問題が起きます。一番大きいのは酵素の活性が弱まることでしょうか。
イーストに関しては、ケトルサワーとか普通に発酵してたなーっていう経験があるので、ノーコメントです。

濃色麦芽がどれくらいpHを下げるのかは予め調べるとわかります。最悪、マッシュの途中で水質はいじり直せます。
データから分かる、抽出時間が長いほどpHは下がっていくところも重要です。多くのステップを踏んだりするときなんかは、モルトを入れるタイミングをずらしたりしてもいいかと思います。
全部一度に入れちゃえ!はそろそろ古いかもですね。縛られずに、やってみましょう。

濃色ビールにデコクションは不適切か

ビールのマッシングには大きく2種類あります。
インフュージョンデコクションですね。違いは温度の調整方法の違いです。インフュージョンが全体を加熱することによって調整するのに対して、デコクションはマッシュを一部別の釜に移し、それを沸騰させてから戻すことで温度を調整します。

解説&考察【Decoction Mash Techniques】

さて、このデコクションがどうして濃色ビールに不適切なのではないかと思う理由は、

Hot Steeping と Boiling を比較すると、Hot Steeping の方が官能検査的には◎

ここです。元の記事を読んでもらえるとわかりますが、ボイリングして抽出されたものの官能検査はひどい言われようです。とにかく焦げっぽさがきついと。
デコクションはマッシュの一部をボイリングします。均一に混ざったマッシュから、濃色麦芽だけ切り離すなんていうのは不可能ですから、どうしてもこの”焦げっぽさ”が際だってしまう気がします

でもどうしてもデコクションがしたいんです!となった場合にはどんな対策を取れるでしょうか。
一つは、濃色麦芽だけ最後のステップになったら投入する。これなら煮沸されずにすみます。マッシュアウトはできないか、あるいはどうしてもしたいなら、マッシュアウト時に投入でもいいかも。
もう一つは、ボイルする一部のマッシュだけpHを劇的に下げる。そうしたらポリフェノールは抽出されづらいから、もしかしたら上手いこといくかも。懐疑的ではありますが。笑

この文章をかいた帰り道にであったYoutubeの動画で、ブラウンエールをデコクションしてました。とっても美味しそうでした。全体に対して量が少なければいいのかもね!笑

小言

  • 濃色麦芽はポリフェノールが抽出されやすいので、ぎゅっと絞ったりするのは推奨されていません。
  • 淡色麦芽のみの場合は、絞っても大丈夫です。ごりごりに絞ったら残った糖分も沢山取れるでしょうが、袋が破れると思います。
  • 袋が焦げることがありますので気をつけてください。
  • BIAB(Brew in a Bag)でやろうと思っている方へのみのメッセージです。

Cold Steeping: お水抽出

さて、お次は冷たい方です。
お湯で抽出する方が香りも味も出やすいだろ!!と思うかもしれません。僕もそう思っていた時期が当然のようにありました。
が、官能検査的には、12時間も水に漬けておいたら、薄いけど香りは出ますよとのことです。モルトっぽい香りよりも新鮮な挽き立てのコーヒーのようだと。

いいですね。活用方法を考えてみましょう。

香り採用

顔採用みたいになりました。
単純にHot Steeping とは異なる香りですので、気に入った場合、あるいはコーヒーらしい感じを出したい、繊細さが欲しいなどの場合には採用多いにありです。

が!気をつけないといけないのは、コンタミネーションですね。
マッシュに加えて、最終的にボイルしちゃうんなら、まったく問題ないです。しかし、発酵容器に抽出された水のみを入れる場合は気をつける必要があります。
まずは、浸漬用の水はかならず煮沸消毒したものか、純粋を使用すること。次は、容器ももちろん殺菌をきちんとすること。
残るはモルトですが、これは殺菌しようがないですから、諦めて使用するしかないですね。これが気になるなら、発酵容器に投入するのは避けるべきです。あるいは、香りが変化するかもしれませんが、抽出された液体を一度煮沸して冷ますとかも有用でしょう。

Mashing/マッシングしないことの価値

低温でスティーピングすることの意義には、酵素がまったく働かないという点も考えれます。
ホットスティーピングも温度が高すぎて酵素が不活性化する可能性が大きいですが、いかんせん、しないとは言い切れません。その点、こちらは言い切れます。確実にどんな酵素も働きません。少なくとも、働く酵素を僕は知りません。

酵素が働かないということは、通常よりも多くの非発酵性糖分が抽出されます
これはファイナルプロダクトのビールにおいて、ボディーとして役割を担う糖分です。ですから、モルトの層を増やしてみたい、少し切れすぎかも、となったときに有効な手段となります。特に濃色麦芽の場合はコーヒーのような香りも出るようですから、香りの層は分厚くなりますね。
ただ、抽出された液体の比重があまりにも低い場合は単にビールを薄めることになるかもしれませんのでご注意を。

ラガーなんかに最後すこしモルティーな感じを加えてみるのに採用してみるの面白そうだなーなんて思っています。まずくなったらごめんなさい。笑

まとめ

だいぶ延長した記事になりました。
スティーピングというまだそこまで深掘りされていない技術ではありますが、奥が深そうです。また、ホップやスパイスの香りを確かめる実験は非常に役に立ちます。
ペレット2粒くらいなら、実験もたくさんできますし、自分なりの好みの組み合わせを見つけてみたいものです。

わりとざっくりとした解説にもなりました。
ご不明な点、もっと聞きたい点、ありましたらDMでもコメントでもどしどし待っています!
では、今日はこの辺で🎈

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]

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