こんばんは!!Ble_です。
【2019/3/15~】から2日間SnowMonkeyBeerLive【~2019/3/16】 という大きなイベントが志賀高原で開催されます。
実はこれを打ち込んでいるのが初日の午前中ですので、この記事が投稿される頃にはイベントは終わっているかもしれません。
が、頑張ります!
本日はフルーツビールについて色んな話をしてみたいと思います。
製造の話はもちろん、その他の話もできればなと。
個人的にはすごく思い入れのあるスタイルで、将来的に醸造したいスタイルの一つでもあります。
そんなフルーツビールの世界を少しご案内できればな、と思います!
では早速行きましょう!
フルーツビールの紹介から
フルーツビールを飲んだことのない人に、まずどんなものがあるか簡単にご紹介していきたいと思います。
独断と偏見でとりあえず紹介します。
サンクトガーレン
国内のフルーツビールを比較的入手しやすい規模で醸造しているのがサンクトガーレン。
個人的に好きなので紹介したいと思います。
元祖地ビール「サンクトガーレン」公式ホームページ
『普通のビールがまるで水』本物の職人ビールなら最老舗地ビール蔵サンクトガーレン。ワールド・ビア・アワード受賞。国際大会金賞多数。贈り物に一升瓶ビール・感謝の生、話題のチョコビール・スイーツビールも。
①オレンジチョコレートスタウト
はじめてフルーツビールがおいしいと思えた瞬間でした。
【厳密にフルーツビールと呼べるかどうかは実際にフルーツ使用料を聞いていないが、割愛する笑】
濃厚な麦芽のボディーをオレンジピールの濃厚な香りが支え、フィニッシュは非常に優雅。
そのバランスは素晴らしいの一言。
バレンタインにこれを送られたら僕はそのセンスの良さに脱帽しちゃう。
ちなみにフルーツの使用はマッシングの際に。つまり、一次発酵前から利用。
②アップルシナモンエール
まさにアップルパイ。
リンゴの香りはビールに出づらい印象があるが、シナモンと使用することで眠っていた獅子が目を覚ます。
まずおどろくのが泡だけ飲んでもうまい。
ゆっくりとストーブの前でこれを飲みながら、読書するもよし、映画見るもよし。
インペリアルみたいな高アルコールだけが冬のビールじゃないってことを教えてくれます。
ちなみにフルーツの使用するタイミングはマッシング中。発泡酒なのでフルーツの使用料はかなり多いはず。
いづれもオンラインで購入することができるので、とっても買いやすい。(期間限定のものもあるので要注意)
申し訳ないです。一つ目はオレンジチョコレートスタウトじゃなくて、バニラスタウトになっています。ただ、こちらの商品も強烈に美味しいので冬をじっくりビールで過ごしたいときにお勧めです。
Von Evert Brewing
アメリカ・オレゴン州ポートランドの醸造所
人生史上最高のビールに出会ったので紹介します。
Von Ebert Brewing | Home | Beer, Food, Spirits
Von Ebert
③Blood Orange IPA
名前からしてもううまい。
香りはオーソドックスな柑橘、ちょっと土っぽさを感じるくらいでフルーツが入っているとは思わない。
が、一口飲むとその名わき役っぷりに身が震えます。
うますぎる。
飲んでいるときのフルーツ特有の心地よく、さわやかな苦み。飲み終わった後のジューシーな甘みと酸味。
飲んだのが1年以上前にもなりますが、いまだに全ビールジャンルでこれを超える一杯に出会えていません。
ちなみに超短期間の限定ビールでしたので、国内で入手することはできません。
残念なことに、なぜか写真が貼れません。悲しい。
ではフルーツビールの詳しいことについて話していきたいと思います。
そもそもフルーツビールの定義は??
誤解をなるべく避けたり議論の障害にならないように、まずフルーツビールの定義を確認しておきたいと思います。
しかし、現存の日本の法律でフルーツビールの定義はありません。
困ったときに頼りになるのが海外でのフルーツビールの定義ですね。
Dictionary.comさんによると、
a beer or ale to which fruit or fruit syrup has been added for a second fermentation.
直訳すると、『果実、または果汁シロップを二次発酵を目的として使用したビール又はエール』
ぬぬぬ??
まず二次発酵に使用したものじゃないといけないのか、という点と
ビール又はエールという表現がひっかかりますね。
量については全く明確な定義がありません。
変だなーと思って、色々みましたが似たようなことばかりでした。
そこで、今回は僕個人としてフルーツビールの定義をここで作っちゃいます!!笑
(ビールとエールの表現、二次発酵での使用に限る点、はきちんと私見ですが解説します)
Ble_が考えるフルーツビールの定義
ちょっとわかりづらくなったでしょうか。
最初に紹介した辞典上の定義との違いは、①フルーツの使用料の違いと②二次発酵に限らない点。
それぞれに考えた理由を書いていこうと思います。
フルーツの使用料
まず辞典上の定義では、少しでもフルーツを使って二次発酵をさせたらフルーツビールとするという風にとらえられます。
しかしこれでは様々なビールがフルーツビールと捉えられてしまいます。
例えば、ベルジャンウィットにちょっとオレンジジュースを瓶詰めで加えてみたらどうでしょうか。
仮にそこまでオレンジの主張はないにしろ、糖分である以上二次発酵がスタートします。
煮沸中にいれたり、1次発酵中に漬けたりと様々な使い方がありますが、二次発酵中として使用した途端に、『はい、君フルーツビールね!!』というのは強引だと思うんです。
重量割合でいえば、この副原材料は本当に微々たるもので、フルーツビールと呼べるほどフルーツの特徴が前面に出るビールにはなりません。
そこで、今回は麦芽重量に対して5%より多くのフルーツを使用した場合という定義にしました。
どうして5%なのかというと、酒税法で麦芽重量の5%より多くの果実を使用した場合は発泡酒となるからというところに準拠しました。
それ以下はオーソドックスなビールとしてみますよ、という国の解釈をパクったということです。笑
また、BYOというホームブルワー向けのサイトにあるフルーツビールのレシピにはだいたい麦芽使用料の40~55%ほどのフルーツが使われていました。
つまり基本的にはフルーツビールと謳っている場合は麦芽の5%以上のフルーツが使われているのが現状でしょう。
(よっぽど強烈な個性を持つフルーツでないと5%未満で個性を出すのは難しいかもしれません。現状で考えられるのは柚子の皮などでしょうか。)
では次は二次発酵についてです。
【~次発酵】の整理
一次発酵とは、主発酵のことで、『酵母が投入されて、本来の力を出し切るまで』の期間のことを指します。
力を出し切るというのは色々御幣を産んでしまいそうですが、糖分をどれくらい食べてくれたかで判断することが多いでしょう。数値を見て、酵母がもう糖分を食べないなとなれば、一次発酵の終了の合図です。
ついで二次発酵とは、主発酵が終わって落ち着いていたところに、もう一度糖分を加えるか、酵母を加えることで本来なら起きないはずの発酵のことを示します。
この二次発酵が終わって、また発酵させたりすると三次発酵、四次、、、、という風になります。
しかし、他の水分を含んだ原料を加えない限り発酵が進むたびに度数は上がります。
酵母にもアルコール度数に強いものがありますが、限界がありますので現時点では三次発酵より先はほとんど見かけません。
二次発酵での使用は重要でない
僕自身、フルーツの使用は上記で説明した二次発酵での使用が正義という風に全く考えていません。
なぜなら大量のフルーツを使用しているが、【マッシング(麦ジュース作り)中に投入されて一緒に煮込まれているならフルーツビールとは呼びません。】は全く意味がわからないからです。
では、どうしてこのような定義がくっついたのでしょうか。
私見で考察していきます。
おそらく、一番の大きな理由は『二次発酵にフルーツを使用したフルーツビールが主流』だったからでしょう。
色んなレシピを見てもそういう風に使用する場合は非常に多いです。
どうしてかというと、それが一番メリットが多いといいますか、おいしいフルーツビールが作れると思われているからです。
では、フルーツをどの段階で使用するとどんなメリットがあるのか、文献や私見を交えて説明していきます。
なお、この後は技術的な話が大部分を占めていきます。
飲むのが専門なので、そんなのわからないよ、という方は飛ばしてもらって大丈夫です。
なるべく簡潔にまとめるよう努力します。
ちなみに海外での定義に出てきたビール又はエールという言葉について説明しておきます。
【ビールとエールを分けて表現した訳】
解説というか、こういった解釈もあるよという意味で書いていきます。
実は今から述べることは全く的外れだったりするかもしれません。笑
むかし、むかしというほど昔でもないですが、ビールには防腐剤としてホップの使用が盛んになりました。
しかし、ホップを使用する以前はただの麦を発酵させた麦ワインだったのかというと、そうでもありません。
グルートと呼ばれ香草類(ニガヨモギなどなど)を調合したものを香り付けにしようしていたりもしました。
そしてそのお酒をエールと呼んでいました。
産業として発展していくにつれ、香りだけでなくホップの防腐剤として役割が大きな注目を集めます。
しかし、ややこしいことにグルートの販売で利益を得ていた団体が利権のために、ホップの使用を認めようとしません。
そこで、グルートを使用したものをエール、ホップを使用したものをビールと区別しました。
いまではエールとはビールの中の部分集合になりましたが、昔は区別をされていました。
となると、この紹介した時点ではもしかしたらフルーツビールはホップじゃなくてグルートを使用したものでもフルーツビールにカテゴライズしてあげるよということでしょうか。
と、こんな風に解釈しました。
違うわよ!!実は、、、と詳しい意見をお持ちの方はぜひとも情報をいただけると嬉しいです🌛
二次発酵での使用が注目される訳
海外のフルーツビールの定義(辞典上の)をみると、二次発酵での使用が条件と入っていました。
そこで使用する人が多いからだと認識していますが、どうして二次発酵に使用するのが推奨されているのでしょうか。
フルーツの香りを最大限に活かす
フルーツビールを楽しむ際にかなり重要なのが【香り】
ボディーとして甘みを残す、フルーツの成分(例えば、ブドウのタンニンとか?)など味に影響するものを利用するということも大きなメリットですが、一番はやはり香りかと思います。
ホップの香りもよく柑橘系などと表現されたり、パンクIPAのようにグレープフルーツの香りとその名前をダイレクトに表現するものもあります。
それくらいビールにおけるフルーツの香りは重要ということでしょう。
そして、恐らくこの香りを最大限に活かす方法が【二次発酵での使用】です。
解説していきます!
Dry Hop をイメージする
ビールの香りといえば、ホップです。
現代のクラフトビールではその香りを以下にして消費者に届けるかでさまざまな工夫が成されています。
IPAのように単純にホップの量を増やす、色んな組み合わせから最高の選択を模索する、などなど
ですが、今日一番使用されている製法は Dry Hop と呼ばれるものです。
主発酵中にホップをつけ込むこの製法は、ホップの香りが最もダイレクトに出るとされています。
(しかし、今では発酵が始まってからビールとして完成するまでどのタイミングでいれてもドライホップと呼ばれています。主発酵に限りません。)
理由は熱により揮発性の香りが飛ぶのを抑えられるからです。
ただ、ドライホップも色んなやり方があって、香りに重きを置いているところは何度も違うタイミングでホップをビールにつけ込みます。
その中の重要なつけ込みどころの1つに発酵終了間際というのがあります。
発酵中はたしかに酵母の活動による熱の上昇がありますが、それはホップの香りを揮発させてしまうほど大きなものではありません。
では、どうして発酵終了間際なのかというと、酵母による香りの消失を抑えるためです。
非常に重要な観点です。
酵母は生物ですので、代謝を行います。
そのなかで色んな副産物が香りを演出することもありますし、逆に失われていく香りもあります。
そのため、狙ったホップの香りを直接的に引き出したいときは酵母の活動に邪魔されないタイミングでドライホップをするのが重要です。
発酵が終わってから漬け込めばいいじゃないか、と思われますが、酵母は代謝で酸素を消費してくれます。
ホームブルーイングなどではホップを漬け込むときに酸素を必ず巻き込んでしまいます。
そこで微量の酸化も防ぐために酵母が発酵を終えないあたりでホップを添加するのが一般的です。
と、ドライホップの説明を簡単にしました。
これをフルーツに応用するとどうなるでしょうか。
Dry Hop ならぬ Dry Fruits
ややこしい題名になりました。笑
ホップの代わりに、フルーツを発酵中もしくはその後に加える製法を Dry Fruits とすると、香りが一番残りやすいというのも理解しやすいでしょうか。
このドライフルーツ製法(ややこい笑)が恐らく海外でのフルーツビールの定義に大きな影響を及ぼしたと考えてもおかしくありません。
でも、それだったら二次発酵じゃなくてよくないか??と思えます。
別に主発酵中でもいいじゃないか、と。ここからは私見で説明します。
フルーツの糖分が発酵を促す
ビールを作る上で非常に大事な数値があります。
糖度です。
どうして重要かというと、発酵がきちんと進んでいるか、終了したか、などが分かりやすいからです。
発酵が進むと、糖度というのは下がっていきます。発酵が終了するともちろんこの糖度の動きはゼロになります。
でもドライホップと同様に主発酵中に大量のフルーツを入れると想像してください。
オレンジの皮、レモンの皮、などよりもピューレやジャム、ジュースを想像してもらえると助かります。
果物はたくさんの糖分を含んでますので、もちろんそれが糖度として数値に出ます。
良い感じに糖度が下がってきたなと思いきや、急に数値が上がるんですから扱いきるのはなかなかハードです。
また、フルーツもホップ同様に酵母による影響を受けるのでなるべく発酵終了間際にいれたいと考えます。
すると、もう糖度の乱高下がすごいですね。
それにフルーツには発酵性糖分も非発酵性糖分も両方含まれています。糖分の指標は計るものにもよりますが、基本的にこれらを区別しません。
つまり、糖度の数値を見ても、何がどれくらい含まれているかさっぱり分かりません。迷路です。
とすると、フルーツは発酵が終了した時点に入れたいです。
発酵の進み具合をきちんと確認してからフルーツを入れたいからです。
しかし、フルーツには糖分が含まれていますので、フルーツを投入するとまた酵母が頑張ります。
これが二次発酵のスタートとなります。
確信に迫ってきたでしょうか。次に行きます。
美味しいビールをつくろうとした結果
海外での定義で、二次発酵でのフルーツの利用というのがキーワードでした。
糖度の乱高下を防ぐためなど製造上の理由も想像してみましたが、一番はやっぱり美味しさの追求があったこと。
酵母による香りの変化を防ぐために、主発酵が終了したのちにフルーツを加える。
そうすると、糖分が入り込むため二次発酵が始まる。
じゃあ、といってみなさん二次発酵をフルーツによって促進させてきたのではないでしょうか。
でもでも、必ずしもそれが正義じゃありません。
サンクトガーレンさんのようにマッシングにフルーツを使用して、素晴らしいバランスのビールが完成する例もあります!
余計な定義にこだわらずに美味しいフルーツビールが沢山出来ることをいのるばかりです。
まとめ
ご精読ありがとうございました。
限られた時間のなかで成果を出すのは非常に難しく、内容も粗雑になったことを認めざるをえません。
許されるのであれば、また内容を改善してアップロードします。
しかし、フルーツビールが二次発酵に用いられる理由などおおまかな理由は説明できたかなと思います。
論文などのデータを見る余裕がなかったので、私見も多くなりました。
もし理解できないところや、もっと深く知りたいところがございましたら気兼ねなく御連絡ください。
出来る範囲で最大の努力はするつもりです!🌛
ではでは本当にありがとうございました。
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