【0%】ノンアルコールを徹底的に理解してみよう!

こんにちは!ANTELOPEのブルワー谷澤(やざわ)です!

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今日は【のんある🍻】についてみんなで学ぼうという記事です!

ノンアルコールビールってどうやって作ってるの??
普通と一緒??
他のサイトに書いてあったんだけど、詳しいところまで書いてないな、、

と感じたことのある人たちに向けて、自分なりの考察や他のサイトからも引用したりして解説してみます。一緒にのノンアルの世界を旅してみましょう🍻
ノンアル第二段はこちらから☟

【のんある🍻第2弾】アルコールを抑える3つの方法

ノンアルコールビールの定義とは

アルコール度数1%未満
日本の法律上ではアルコール度数1%まではノンアルコール、つまり清涼飲料水という括りになります。ただ、実情としては「低アルコール飲料」と表記することが多いようで、「ノンアルコール」と表記するときは、度数0,05%以下のときを示すことが多いようです。

海外との比較
日本ではそうみたいですが、海外ではどうでしょうか。

【ノンアルの基準】
アメリカ ~0.5%
EU             ~1.2%
イギリス   ~0.05%
日本   ~1.0%

アメリカは日本よりも厳しくて、EUはもうすこしゆるいですね。

日本の「ノンアル」歴史

どんな価値観も広く受け入れる世論に少しずつ世界が変わり始めてきて、どんな人も生きやすい世の中に、という雰囲気に変わりつつあるでしょうか。「ノンアルコール飲料」という商品が世界的にも需要があるように感じます。では果たしてどういった需要のもとになりたっているのでしょうか。wikiによると、

2003年の道路交通法改正により、飲酒運転への罰則が強化されたことに伴ってノンアルコール飲料の需要が高まったため、大手酒造メーカー各社が一斉にノンアルコール飲料に参入したが、法的にはアルコールが1%未満であれば「ノンアルコール飲料」を名乗れるため、実際はかなりのアルコールが含まれていた。

第一のポイントは《飲酒運転の罰則強化》に伴った点。
わかっていたとはいえ、痛ましい悲劇・犠牲の上にノンアルコール飲料は打ち出されました。2003年というと、約15年以上も前になります。飲酒運転の罰則化の歴史については、こちらを参考にさせて頂きました。

「運転して帰らないといけないんだけど、お酒飲みたい。」
という人間の欲望を解消するツールとして誕生したのがノンアルコール飲料だったのかもしれません。ただ、ノンアルを作り始めた当初は技術面か、マーケティング面か不明ですが、アルコール度数はほとんど0%というところまで落ちていなかったようです。

例えば2003年に発売された『モルトスカッシュ』(キリン)にはアルコールが0.5%、『アサヒポイントワン』(アサヒ)には0.1%のアルコールが含まれており、お酒に弱い体質の場合や大量に飲んだ場合は酔うことがあり、飲酒運転として捕まる可能性があった。また、未成年者やお酒に弱い人、妊婦の飲用は十分注意を要した。なので定着しなかった。

【初期のノンアル商品】
キリンのモルトスカッシュ: 度数 0.5%
アサヒのポイントワン: 度数 0.1%

アサヒのポイントワンが大分度数を絞っていますが、キリンのモルトスカッシュは確かに酔ってしまう危険性は大いにありそうです。中途半端な度数だったため、商品としては定着しなかったようです。

2007年の道路交通法改正で、飲酒運転への罰則がさらに強化されたため、2009年4月にキリンは『モルトスカッシュ』に代わってアルコールが0.00%である日本初のノンアルコールビールである『キリンフリー』を発売。この大ヒットを受け、アサヒが『アサヒポイントワン』に代わって『アサヒポイントゼロ』を発売するなど、各社が続々とアルコール0.00%飲料に参入。ジャンルとしてコンビニの一角を占めるほど定着した。

2007年から更に飲酒運転が厳罰化しました。そこで大手は2009年に0.00%と表記された商品を発売しました。日本初ノンアルコールビールと書いてありますが、この量なら未成年が飲んでも問題ないと言い張れると思います。妊婦さん、飲み会でのドライバーさんも気兼ねなくノンアルをチョイスできるようになりました。もちろんアルコールに非常に耐性がない人もビールを日頃の生活に取り入れることができるわけでして、素晴らしい商品です。実際に飲んでみても、ビールらしさは感じることはできるし、すごいことだと思います。

そんな画期的な商品であるノンアルコールビール。実際にどうやって作っているのでしょうか?

ノンアルコールビールの作り方

今回参考にしたのは、きた産業の報告。ざっくり説明する前に、みなさんともう一度ビールの作り方そのものを復習したいと思います。

ビールの作り方

ざっくりと説明すると、ビールは以下のような工程を踏んで出来上がります。

【ビールの作り方】
①糖化
:麦芽を煮て、糖分を抽出して、麦ジュースを作る。
②煮沸:麦ジュースを煮込んで、殺菌。このときホップを添加し、苦みと香りを麦ジュースに追加。
③発酵:麦ジュースを冷やして、酵母を添加。酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスに変換。
④完成:熟成期間を取ったら、容器に詰めて出荷。

と、こういう流れです。どのお酒もそうですが、アルコールの発生源は糖分です。糖分を酵母が分解して、アルコールに変換します。しかし、糖分といってもアルコールに変換できるのは酵母が食べられる大きさの発酵性糖分だけです。ここが今回のテーマの肝です。

では、そろそろノンアルコールビールの作り方に迫りましょう!

海外ノンアルの作り方

一番てっとり早いのは、『ビールを普通に作ってから、アルコールを抜く』こと。海外ではこれがメジャー。味わい的にそれが一番シンプルで、作り方もわかりやすいからでしょうか。しかし、ここ日本で作られているノンアルビールはこの方法で作られていません

アルコールには味がありませんし、ビールらしさはアルコールには頼っていません
訂正:アルコールには、苦みと甘味を感知させる研究結果があります。結果的に味わいのボディーにもなります。また、一部の香気成分はアルコールに良く溶けるので、香りとも相関があるはずです。

じゃあどうやってやるのか。きた産業には方法が4つあがっています。

【ビールからノンアルを作る方法4選】
①減圧蒸留法

②減圧蒸発法
⇒アルコールと水の沸点の違いを利用して分離
③逆浸透膜法
④透析法
⇒アルコールと水の分子量の違いを利用して分離

①②の方法は、物質の沸点の違いを利用。

エチルアルコールの沸点は約80℃ちょい下くらいですので、水の沸点より低いです。
そのため、その間の温度で管理してあげたらビールから純粋にアルコールだけ取り除けるよ、という方法です。

③④は、温度の違いではなく、物質としての大きさを利用。

水とアルコールは物質としての大きさが違います。水は通るけど、アルコールは通らないという膜を使用してあげることで、ビールからアルコールだけを抜き取るという方法です。

上記4つがビールをつくった後にノンアルコール化する方法です。海外ではメジャーな方法ですが、日本では別の方法を採用しています。その理由は、法律?にありました。

日本ではアルコール飲料は、ノンアルになれない

日本では一度アルコール飲料として製法したものは、どう調理してもノンアルコール飲料としては売り出すことはできません。どうしてかっていうのは、僕も法律の関係者じゃないのでわかりませんが、それを許してしまうと、自宅で1%以上のアルコール飲料を生成することを一時的に認めることになってしまうからでしょうか。飲むときはノンアルでも、作ってるときには普通のアルコール飲料で、味見しちゃお、とかできるわけですから。それかもしくは、ノンアルで流通したものが本当はアルコール入っていました!なんて自体を根本から解決するためでしょうか。

どっちにしても日本では一度1%を超えた飲料はずっとアルコール飲料として認知されます。

日本ノンアルの作り方

そこで、日本ではとられる方法は、①ビール風の味付けを施して、それっぽくするか、②ビールと同じ作り方だけど、発酵を抑えて度数を抑えるのどちらかが採用されています。

ビール風の味付けを施して、それっぽくする
容易に想像できますが、ビールの風味や味わいは発酵によるプロセスで発生する物質が担っていることも大きく、発酵プロセスを全く通らないで、ビールらしい味わいに寄せるのはかなり困難であると思われます。

ビールと同じ作り方だけど、発酵を抑えて度数を抑える
日本で良く採用されているのは、こちらの方法です。発酵自体を抑制して、アルコールを出さないようにするという方法です。発酵のプロセスには、【麦から糖分抽出⇒発酵】という流れがあります。つまり、このどの段階で発酵を抑える様に努力するか、どうしたら一番ビールらしいか、各社の腕の見せ所が光ります。自分にとっても非常に興味のある分野で、ここは第二弾としておっきく取り扱いたいと思います!

とりあえず、日本では、ビールを作ってからアルコールを抜けない。だから、発酵を抑制してノンアルコールにする。ということ。

ノンアル紹介

キリン零ICHI

ノンアルコールビールの代名詞ともなった、キリン零ICHI。しっかりとノンアルコールと表記されています。

原材料:麦芽、水あめ、食物繊維、米発酵エキス、ホップ、香料、酸味料、調味料(アミノ酸)、乳化剤

麦芽が入っていると言うことは、ビールと似た工程を踏んで、発酵に何かしらの手を加えていそうです。ただそれだけじゃなく、たくさんの原材料がはいっています。食物繊維は、難消化性デキストリンでも良く見かけますが、ボディーを与えることが目的でしょうか。糖分としては構成要素が大きい分、甘味を感じづらいのですが、タンパク質同様に口当たりには影響を与えます。乳化剤も、とろっとした口当たりを少し演出させているのでないでしょうか。

アルコールは、先にもボディーに影響を与えると書きました。ノンアルで、薄くなったボディーをデキストリンや乳化剤で養うということでしょうか。

龍馬1865

日本ビール株式会社が製造するノンアルコールビール。なんといってもその最大の特徴は、添加物ゼロ、麦芽100%どうやって作っているのかはわかりませんが、発酵に手を加えてることは間違いないでしょう。

原材料:麦芽、ロースト麦芽、ホップ

ちょっと専門的になりますが、ロースト麦芽というのは、熱により酵素のは働きは既にほとんど失われていて、なおかつメイラード反応により分解できない大きな糖分を保持しています。ビールの味わいにボディーやパンのような風味を与えることのできる麦芽ですが、ローストの具合によっても全く異なる風味を出します。コーヒーの深入り、浅煎りと同じような感じです。

まとめ

時間のない人や、さくっと読みたい人はここだけ読んでくれても大丈夫です!

海外:一度ビールをつくって、そこからアルコールだけ抜くのが主流
日本:風味付けをするか、あるいは発酵過程を調整することでアルコール発生量を抑えるのが主流。

海外と日本ではこんなに作り方が違うんですね。自分もすごく勉強になったし、そもそもこの記事を書こうとしたきっかけになった中学生だったときの戦友に感謝を表明したいです。出会ってからちょうど10年くらいが経ちますでしょうか。このブログを通してまた繋がれるとは思ってもみませんでした。最高に感動していますし、良い記事を書くこともできました。本当に感謝しています。東京もどったらビールを飲みに行きましょう。

次は製法や、もっと深いところにコミットしてみたいと思います!

 

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]
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COMMENTS

  1. 非常に面白い記事だと思いました。
    日本でもよりビールに近い味わいを出す方法があれば良いなと思いましたが、
    どんな製法を用いれば、ビールに近い味わいを出すことができるのでしょうか?やはり海外のような方法しかないのでしょうか、どう思われますか?

    • akariさん!
      初めまして!!
      コメントとご精読ほんとうにありがとうございます!

      いちばん本来の味に近いのはやはり一度作ってからアルコールを抜く海外の方法を用いた場合だと思います。
      しかし、発酵性の糖分の量を抑え、残糖を残したままの甘くコクのあるノンアルや、
      発酵を行わないタイプの酵母【実際にいますが、どんな味になるのかは調べてません。】を用いるなど様々な方法が日本でも行えます。
      あとは、人工的な味付けでなんとか味を似せるという方法が進んでいけばどんどんノンアルも進化していくのではないでしょうか!

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