ミード/mead とは?🍯【解説・味わい】
こんちには!やざわです!
今日は、ミード/mead というハチミツ酒について解説をしていきたいと思い〼!最古の醸造酒と言われるミード。ワインのブドウがハチミツになったものですが、どのような味わいになるのでしょうか。作り方の解説については、別の記事でまとめていきます。
他のミードについての記事は☟
早速行ってみましょう!
ミードとは
ミード/mead とは、ハチミツを主原料とした醸造酒です。
お酒は、醸造酒と蒸留酒、あるいはリキュール(混成酒)に分けることができます。醸造酒は、ビールや日本酒、ワインのように酵母による発酵を通じて出来たお酒です。蒸留酒は、醸造酒を蒸留させることで作られるお酒です。リキュールは、すでにできているお酒に何か別のものを混ぜて作ったお酒ですね。
「発酵」というプロセスは、糖分を二酸化炭素とアルコールに変えてエネルギーを取り出す代謝活動です。ですから、全ての醸造酒は糖分を必要とします。
日本酒はコメのデンプン。ビールは、麦芽のデンプン。ワインはブドウの果糖/フルクトース。すなわち、ミードはハチミツの糖分(グルコース、フルクトース)を発酵媒体とします。
こう見ると、米と麦芽は似たような糖分構成をしていて、ワインとハチミツは似たような糖分構成をしています。デンプンは、グルコースなどが大きく複雑に連鎖したものですから、酵母が食べやすいように酵素によって小さく切ってもらう必要があります。しかし、ワインやハチミツはそもそも大きな糖分を全く含んでいませんから、酵素に助けを求める必要がありません。何が言いたいかというと、ハチミツと水を混ぜたものに酵素を入れれば、発酵という活動は起こせるということです。
ブドウも同様ですし、感覚的にはミードはワインのブドウが全部ハチミツに変わったもの。ハチミツワインですね。
(余談ですが、果糖はフルーツの糖分だからフルクトースと覚えると覚えやすいですね。マルトース/麦芽糖は、モルト/麦芽の糖分なのでマルトースですね。)
どこで買えるの?
まず初めに日本でミードを飲もうと思うと、かなり選択肢は絞られます。通信販売ならば、ミールミィくらいしかありません。ビアバーなどでは、たまにスーパースティションミーダリーといった世界的に評価されてるミーダリー(ミードを作ってるところのこと)の樽がつながってることもありますが、頻度は少ないです。
あるいは、年に1回東京で行われるMBCT(Mikkeller Beer Celebration Tokyo)というイベントにもスーパースティションや他のミーダリーがゲストで呼ばれることもあります。チケットの値段は半日で1万円以上しますが、世界最高峰のブルワリーやミーダリーが参戦するので最高&最高のイベントです。
また、別の手段としては個人輸入です。planet express というサイトが非常に分かりやすいので、もし興味がある方は海外のミードを代理購入してもらって、発送してもらうのが一番手っ取り早いです。
Mikkeller Beer Celebration Tokyo
MEIJI JINGU GAIEN, TOKYO JAPAN
どんなスタイルがあるの?
一口にミードと言っても、様々なスタイルがあります。
もちろんハチミツと水と酵母と少しの栄養剤で出来たトラディショナルなミードもあれば、フルーツやスパイスを使ったミードもあります。今回は、MAZER CUPというミードのコンペティションで定義されているスタイルをすべて紹介していくと共に、一言入れていきたいと思い〼!
大枠として10個あります。公式が出しているやつとは分かりやすいように順番を入れ替えました。
Home - The Mazer Cup International Mead Competition
March 17, 2020 Hello Mead lovers, In today's chapter of The Mazer Cup International, your fearless Mead wranglers are working on a long term storage solution for your entries which are currently languishing in a safe, and secure portion of the Elite-Brands secure, bonded, and environmentally controlled warehouse.
1. Traditional:ハチミツのみ
まずは、トラディショナルなミード。主原料としてはハチミツと水と酵母のみを使用したもので、フルーツやスパイスなどは一切使用しません。ただし、水質調整剤、栄養剤(別の記事で詳しく説明します)は根本的なミードの作り方に必要ですので、使用に関して何も制限がありません。
スタイルとしては、さらに3つのサブカテゴリーに分かれまして、sweet、semi-sweet、dry とあります。味わいの特徴で分かれていますが、具体的な指標としては残糖分(FG: Final Gravity)がどれくらいあるかを基準とすることが多いと思い〼。
アルコール度数は、7.5~14%と幅広いですが、10~14%が多い印象です。
これまで5本以上のトラディショナルなミードを飲みましたが、味わいとしては「養命酒 or 梅酒」っぽい。糖分の多さや温度帯によってもかなり表情を変えてきますので、楽しみ方の幅は非常に広いと思います。苦みがなく、酸味も柔和な印象です。甘い梅酒が好きな人は結構好きな人多いのではないでしょうか。
2. Dessert Mead:度数14%以上
デザートミードは、アルコール度数が14%以上のミードです。フルーツやスパイスを使うのも認められています。また、別の言い方で、Sack とも呼ばれ、醸造書ではこちらで記載されることが多いと思い〼。このスタイルも2つのサブカテゴリーに分かれて、それがsemi-sweet、sweet です。
果たして「アルコール度数が高い」=「デザートのような甘い酒」 という認識は正しいのでしょうか?
これは色々と議論を呼ぶ内容だと思いますが、現在のミードの世界ではイエスなのかなと思い〼。製造の理由も大きいとは思いますが、根本的にハイアルでドライなミードが根本的に美味しくないのかもしれません笑
製造工程に関しては、別の記事で解説していきます。
3. Session Mead :度数7.5%以下
セッションというスタイルは、ビールでもありますね。低アルコールのミード、という意味です。ビールだと4%前後くらいが基準ですが、ミードだと7.5%以下という基準です。こちらもフルーツやスパイスの使用が認めれれています。また、別の言い方で、Hydromel という言い方もあります。醸造書などはこちらで記載してあることが多いのかなと。
ちなみに、サブカテゴリーはなく、いくら甘かろうがドライだろうが、ご自由です。
余談ですが、どうして低アルコールをセッション/session というかご存知ですか?
一説には、第一次世界大戦中のイングランドでは労働階級の人たちには4時間ずつ*2回のお酒を飲む時間が与えられていたことが起源とされています。まさに、その4時間がsessionと呼ばれていて、労働階級者の人たちはがぶ飲み用ビールを欲していたので、結果として低アルコールのスタイルをセッションと呼ぶようになったとされています。
4. Pyment:はちみつ+ぶどう
ここまでは、主原料が主にハチミツだけでした。ピメント/pyment は、これまでのミードにブドウを加えたものです。
ワインとミードのちょうど中間のようなスタイルのお酒で、はちみつが本来持っていない渋みや酸味をブドウがフォローしていくれるので、非常にバランスの良さそうなお酒ですよね。
ブドウの使い方は自由で、果実のまま発酵タンクに入れてもよし、はちみつをそもそもブドウジュースで割って作ってもいいです。どんな味わいを作りたいかによって使い方も変わってきます。
5. Cyser:はちみつ+りんご
ピメントがブドウだったのに対して、リンゴを使用したものをCyser/サイザーと呼びます。
ブドウとリンゴの違いは、ワインとシードルの違いを想像していただけると分かりやすいでしょうか。日本に入ってきませんから比較の仕様がないですが、これからどんどん広がってくるかもしれませんね!
6. Other Fruit/Vegetable Melomel:はちみつ+他のフルーツ
ブドウやリンゴ以外にもフルーツは無限にありますから、それ以外のものを使ったフルーツミード(あるいは、ベジミード)をmelomel/メロメールと呼びます。
実際には、スタイルとしてはピメントやサイザーのように名前がついているスタイルも認められていますが、mazer cupの基準ではこの通りです。一例として、少しだけ紹介します。
Bilbemel: はちみつ+ブルーベリー
Perry: はちみつ+桃
Rhodomel: はちみつ+ローズヒップ
Rudamel: はちみつ+ラスプベリー
覚える必要はまったくありませんが、面白いと思ったので紹介しました。
7. Metheglin:はちみつ+ハーブ or スパイス
metheglin/メシグリンは、フルーツではなく、スパイスやハーブを使用したミードです。最も有名なのが、Capsicumel: はちみつ+唐辛子 のスタイルであるとは思いますが、他にもいろいろな組み合わせが考えられます。
ショウガとカルダモンとかも面白そうですし、ローリエやコリアンダーシードなんかも美味しそうです。単体で使うよりは組み合わせて使う方が美味しそうなイメージはありますが。
8. Bracket or Braggot:はちみつ+麦芽
はちみつに加えて、麦芽を使用したスタイルがブラケット、あるいはブラゴットと呼ばれます。ブラゴットの方が馴染みがある人が多いとは思います。
糖分の20%以上はハチミツ由来という何とも緩い基準があります。日本のビールは33%までは糖分を麦芽以外から補給してもいいので、ビール免許の範囲内で十分にブラゴット風を作ることはできます。ホップを入れるので、ブラゴットです!と言うのはちょっと違う気もしなくもないですが。
9. Open Category:その他のミード
これまでのスタイルに当てはまらない番外編ミードです。
例えば、フルーツもスパイスも使ったもの(メロメールとメシグリンのミックスなので、メログリンとかメシメールとか呼ばれたりします)。他にも、特殊な作り方や特殊な酵母を使用したもの等。
10. Varietal:特殊なハチミツ版ミード
トラディショナルなミードのようにハチミツだけを使ったミードですが、そのハチミツがレアなものの場合はVarietal というジャンルに区分することもできます。
ハチミツの種類と言うのは、ハチがどの植物の蜜を集めてきたのかによって分けられます。有名なのは、アカシア、オレンジブロッサム、クローブなどでしょうか。
ではレアなやつはどんなものかと言うと、ホワイトセージのハチミツや、バスウッド、トュペーロ/tupelo などです。他にもとにかく珍しいハチミツなら何でもオッケーです◎笑
先日、京都のハチミツ取り扱い店で様々なハチミツを何種類も食べさせてもらいましたが、本当に一つ一つ味わいが全く違います。特に濃いものは本当に濃いし、獣臭ったりもする。ですので、それらのハチミツを使ったミードはきっとかなり特徴的な味わいとなるのは間違いないと思い〼!
まとめ
ということで、今回はミードの基本的なところを紹介していきました。
スタイルを紹介しましたが、実際に色々と簡単に飲み比べる日が来るのはもう少し先になるかもしれません。ただ、一つ僕がこの記事を通じて言いたかったことは、
「多種多様なスタイルのミードがある」
ということです!
はちみつと水だけで作ったトラディショナルなミードだけがミードではないです。大手のラガービールが苦手だけど、IPAは好き!という人がいるように、ミードも非常に自由で幅が広いです。
必ず、好みに合ったミードに出会える日が来るはずですので、その日をもう少し待っていただけたらと思い〼!
次回は、製造の方に着目した記事を書いていきます!
Reply