ソムニロキスト【良記事すぎる記事】

ソムニロキスト【良記事すぎる記事】

寝言なのか、本稿すべきか悩む。それくらいの良記事を見つけたので、自分の言葉で感じたことを書いていきたい。寝言はそんな立ち位置。

Greatest Drinkability: The Bavarian Brewer's Art

We could start at the beginning-with the careful selection of ingredients, for example. Instead, we're going to do this differently and start at the end-at the point of consumption. Yes, let's start with the drinking. The Bavarians, you might have heard, drink a lot of beer.

英語が読める、あるいは読む根気が少しだけある人は是非原文で読んでみてほしい。このサイトにしては比較的長めの記事だけど、生で読む価値があるはず。

余談なんですが、僕は英語は英語で読んだ方がいいと思ってて、それは別の言語もそう。”捨てる神あれば、拾う神あり”っていう諺には、そこに日本の文化や価値観、色んなものが反映されているのが分かるし、だからこそ言葉の裏側にある「ニュアンス」がつかみ取れるのではないか。これを英語に訳すと、”When one door shuts another opens" 。これはこれでなんかグッとくるんだけど、なんかちょっとチープな感じがしちゃうよね。one を the god とかに変えた例文もあったような気がするんだけど、それもなんかちょっと違うような。

これ以上脱線すると眠れなくなる。言語には文化を反映している側面が絶対どこかに潜んでるから、原文は原文のまま理解するのが真摯な気はするよね。とはいえ、アメリカに住んだことないから結局理解できないんだけど。

本題。

テーマは一生飲めるビール。

英語ではDrinkability って言うけど、Drink + ability と考えたら、あとは雰囲気。ここで取り上げられてるのはへレスだったり、ピルスナー。2杯でストップするビールはDrinkabilityが高いとは言えないというスタンスで、永遠に試行錯誤を繰り返すブルワーの物語です。

Bavaria という地域を知っていますでしょうか。ビールに興味がある方は聞いたことがあるでしょうか。日本語訳は、バイエルン。

こんな感じ。ミュンヘンを含む地域ですね。このバイエルン地方の人々はとってもたくさんのビールを飲むようです。一人当たりで一番ビールを飲む国はチェコなのは有名な話で、年間で143Lのビールを飲むようです。そのうちの何Lがピルスナーウルケルなんでしょうか。

チェコの次がドイツとオーストリア。104Lのビールを飲むようです。日本は平均して50Lくらいだったよね。

ただ、バイエルン地方の人たちはドイツの平均より40%も多くのビールを飲むらしい。ありがたいことに計算が楽ちんで、もうほとんどチェコと同レベル。伝えたいことは、多品種をちょっとずつじゃなくて、特定の品種を大量に飲むという側面が強いこと。Greatest Drinkabilityがあってこその消費量。

筆者が最強に推すビールがPrivate Landbrauerei Schönramという醸造所(以下、Schonram)が作るピルスナー。

Schönramer - Private Landbrauerei im Rupertiwinkl

Im Jahre 1780 erwarb der Landwirt Franz Jacob Köllerer das Anwesen der Privaten Landbrauerei Schönram. Seit mehr als 235 Jahren ist die Brauerei nun in der achten Generation im Familienbesitz. Wie in der Vergangenheit, so ist auch heute die Brauerei der Mittelpunkt des idyllischen Ortes „Schönram".

Schonramは、年間94,000バレル(大体100Lで概算してみて)のビールを作っている。驚くことにSchonramがある村には、380人しか住んでいない。そんな訳で、ほとんどが半径40マイル内の地域で消費されてる。半径40マイルっていると、東京駅から僕の地元八王子から千葉駅くらいまでの範囲。

牛乳配達みたいにビールを届けるみたいで、なくなったらどんどん補充していくんやって。なんていいサービス。毎日飲む牛乳なら特濃でもなく、低脂肪でもなくふつ~に美味しい牛乳がいいよな~と実感します。

醸造したビールの3/4以上が" Schönramer Hell" というもの。スタイルはへレス。具体的にどういうレシピかは下の方に記載してみる(*まだ書けてないです!追々アップします(..))。

レシピや作り方に関しては追々足すページでやっていくつもりなのですが、一つだけデコクションの捉え方で非常に参考になることが書かれていました。デコクションとは、マッシュの一部を沸騰させてから糖化釜に戻し全体の温度を調整するマッシング方法です。

デコクションって、麦芽の質が悪かったときに無理くり熱をかけて糖分を引っ張り出すのが目的だと思ってたんです。だから、現代の質の良い麦芽に使う必要あるの?ってずっと思ってました。
でも、このドイツのブルワリーでは、あえて質の悪い(麦芽化が完了してない)麦芽を仕入れてデコクションしているんです。なぜでしょうか。

それは、デコクションをすることであえて毎回毎回自分なりのベストな状態のウォートを調整したいからなんです。モルトの量や、雑味の多さなど色んなものが組み合わさって、あえてデコクションを取り入れるという結論に至っているようです。

しなくてもいいけど、しないバッチのものはみんな2杯で飲むのをやめる、と。

あえてデコクションをする、ところの意味ってなんとなく分かった気がするというか、積極的にありな気すらしてきますよね。モルトバランスを微調整したところでインフュージョンだと雑味の有無はデコクション以上に変えられなくて、それだと結局オンタイムで味わいの微妙な調整ができない。調整する自信があるから、そこまでしてデコクションを取り入れる。

美学。美学しかない。

めちゃくちゃ他にも紹介したいことがたくさんあるんだけど、眠たすぎるのでここまで。最後にめっちゃかっこいい言葉をまとめて終わりにします。

“For me, that’s the craft,” Toft says. “Making a helles. Some people don’t like to hear that, but hitting that mark again, and again, and again—that’s the real craft, and the brewer’s art.”

試行錯誤を何度も繰り返し、ど真ん中ストレートを投げ抜く姿勢。それこそが本当にクラフト。まさに芸術。そこにブルワーがブルワーである理由を感じちゃったりして。

おやすみなさい。

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]

Reply

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください