醸造研修というものについて【主観】

醸造研修というものについて【主観】

お久しぶりです。Ble_です。
パスタビアの更新もまともにしないまま、無事に飲み切ってしまいました。笑
いつか書きます、勉強にも、振り返りにもなると思いますので。。。

今日はそれに先立ち、タイトルのようなことを書こうと思ったのはある理由があります。じつは本日6月27日で僕ことBle_は四半世紀を生き抜いたことになりました。25歳の誕生日を雨の中、じっとりと過ごすだけでは味気ないのでサカナクションの新しいアルバムを聴きながら何か書こうかなと。

本当にありがたいことにちょうど今年から始めたSNSで、たくさんの方とつながりを作らせていただきました。当初は自分のアピールや将来の顧客層の調査がー、とかで始めたのが素直なところでした。でも、気づいてみると、ビール愛に溢れた方に囲まれていて、自分も有意義なことを共有したり、提供していきたいなと思って携帯とにらめっこしていました。
それで始めたのが『今日のビール豆知識』だったりします。あんまり更新してないんですが。笑

遅いデビューではあったんだけれども、やってよかったなーと心底おもっています。
色んな形でみなさんとビールやビール以外の話も聞かせていただきたいです。そのためにも早いことブルーパブ立ち上げないと。頑張ります。

少し逸れましたので本題に。
まだ25歳ですし、定義的にはまだ学生の僕ですが、提供できる有意義なものはやっぱり今の状況をリアルに伝えることかなと考えました。
日本国内におけるクラフトビールは師弟制が基本になっているという非常に古い体制のように思います。文化として若いので仕方ないのですが。どんどん若い世代が担っていく業界にもかかわらず、ブルワーとして学ぶ教材が豊富には転がっていません。ということで、ぼくが提供できることはなるべく提供して、何かブルワーとして働くことのイメージがしやすくなればなと。
もしインターネットの向こう側で、それこそ20歳くらいで就活を考える方に何か手掛かりを見つけるきっかけになったら、最高です。

かっこもつけないし、誇張表現もしません。リアルなところを。
でも、勉強させてもらっているわけで言えないことは言いません。そこだけは承知していただけるとありがたいです。気になるところがあれば、DMやmailでお聞きしていただけたら、レスポンスさせていただきます!!

ただ、ただ、読み返してみると、くっそ生意気なことを書いてますので可愛いなーと眺める程度にしてもらえるとありがたいです。笑
ゆるしてちょんまげ。

現状をさらっと。

まず僕の現状を簡単に伝えると、静岡県内の小さな醸造所で勉強させていただいています。
気になるであろうところをさらっと書きます。

①給料
たぶん醸造家になりたい方が一番気になるのがここでしょうか。僕の場合は、ゼロです。勉強をするというステップですので、醸造学校にいく分の学費を労働でペイしているイメージですかね。ブラックやないか!と言われたら、ブラックなんでしょうが、今の日本では多分それしかないです(しょうがないというわけではなく、変えていかないといけないんだけど、今の今はそれしかないという意味です)。
②勤務時間
まちまちです。ながーーーい一日もありますし、ほとんど何もしない日もあります。これは醸造所によって異なりますので、なんとも言えません。僕が最初に研修させていただいたところは2か月間いたのですが、10時~20時くらいでした。休みは決まっておらず、自分で申請するって感じでした。月に4日くらいは休みました。
ただ、今度研修させてもらうところは週1の休みが決まっていて、なおかつ研修なので自分が勉強したい日でいいよというラフなところです。ですので、この辺は一概にいえません。
③仕事内容
僕は幸いなことに最初から醸造に関するところをすべて見せてもらって、実際に実践する機会も与えられました。
具体的に何をするのかというと、バルブをいじったり、マッシュタンクのなかをオールでかき混ぜたり、酵母の加水活性をやらせていただいたり。もちろん初めはみて勉強です。メモをとり、パソコンでマニュアルを作って、などです。
では仕込み以外の日はなにをしているのかというと、色んな単純作業をします。醸造所の掃除や樽洗浄、タンク洗浄など。フェスの前はその準備もします。
④学べる内容
これも醸造所ごとにもちろん違うと思います。方針も違いますし。でも大事なことは、勉強しに来ていますというスタンスを双方で確認すること。その対価として労働で返しますよという流れになるはずです。作業中に写真をとったり、わからないことは積極的に質問する、手が空いているときはなるべくヘッドブルワーの方と会話する、などガンガンしたほうがいいかなーって。
僕が学ばせていただいたのは、機材の殺菌の方法、雑菌購入に対する考え方、酵母の取り扱うときの姿勢、ビールが仕込まれてから出荷するまでの味の変化、糖度の切れ具合、と言い出すとキリがありません。
色々実践させてもらえるというのは最高にありがたいですし、一番の経験になる可能性があります。しかし、それがもしかしたら勉強の首をしめることになる可能性もあります。例えば、実践できるようになることで、空いた時間にヘッドブルワーの方と話す機会がなくなってしまうとか、色んな事があると思います。そうなったらまた一人の時間に冷静になってみて、スタンスを再確認してみたらいいのかなと思います。悩めることがあったら、ぼくで良ければなんでも聞きますし、できる範囲での経験談など話します!笑

と、おっきなところはこの4つでしょうか。
もちろん一番大事なのは④であるかと思います。そのうち給料の面で選ばれる世の中になるくらい地位の高いものになるといいですね。

では、実際の感想というか、考察を踏まえて、自分の考えを書き連ねていきます。

日本のビール醸造免許

先にも述べたように、日本にはビール醸造専門学校がありません(専門学校の専攻がビールや酵母ということはありますが)。

理由はすごく簡単で、日本のビール醸造免許は【場所に交付される免許】だからです。
なので、厳密にいうと、日本にはブルワーという資格はありません。いつでも誰でも名乗れるし、名乗っていいです。アルバイターとかフリーターとか一緒の感じです。
専門学校を出ても正式に学んだ証明書がない以上、あまり信用されるようには思えません。闇医者と一緒じゃんって感じですよね。工場で働いていましたので、立派にビール作れますよ、知識ありますよって言ってるだけの状態です。

研修先はとにかく沢山のところを見る

上記に関係することですが、ここが一番重要かなと。
ブルワーとして働いてみたいなと考えている方は色んな考えがあるかなと思います。一番大きいのは独立でしょうか。もちろんこれは偏見で、本当に単純にビールが好きな方、もっと美味しいビールを家で作りたいからそれを工場で勉強したいという方もたくさんいると思います。

僕が思うに、独立するにあたって非常に大切なことは、たくさんの醸造所で勉強してみることなのかなと思います。
数日でもいいし、1か月でもいいし。仕込んでから、それがあがるまでの1か月くらいは勉強してみるのが身になるかなとは思いますが。
何でたくさん見た方がいいかと思うのかというと、一つの醸造所でずっと研修してても、その醸造所のやり方やノウハウを学ぶだけです。ベルギー流もあれば、ドイツ流もあるし、クラフトビールの聖地アメリカのやり方だってある。
独立するとなると自分の色を出していく必要がありますが、下地がない状態で一つの醸造所で長いこと学び続けると、強い影響を受けすぎてしまう気がします。

ただこれは僕の持論で、ドイツ流とベルギー流の違いを目の前で肌身で感じたからの意見かもしれません。
クラフトビールの真価は多様性にあります。どんなやり方でもいいし、どんなビールも許される。ただ、作り方に一定の基準は必ず存在します。
濾過の際に濁りや、酸化はなるべく阻止したい、麦汁冷却のときの汚染管理だけは徹底するなど。
色んなところを見ることで、その辺の基準も自分のなかで整理させれてくるはずです。

また、規模に関しても色んな違いがあると思います。
基本的には自分のやりたい規模感で学ぶのが楽だと思ってたんですが、大きな規模をみることの重要性にも最近きづいてきました。
それは労働生産性の違いです。

ビールは仕込んでから出来上がるまでの時間がどの規模であろうとだいたい一緒です。
つまり極論をいってしまえば、1年間で4種類のビールが15キロリットルずつ売れるなら、3キロの仕込みを20日間だけやればいいわけです。機械に任せてしまえば、10時間くらいで終わりますから、20日間仕込んであとは売り込んだり、記録管理するだけです。
もちろん1年で品質の劣化がなければの話ですが。

では、小さいところならどうでしょう。300Lだとすると、上記と同じ量売れるとすると、年間に60キロ生産するのに仕込みを200回しないといけません。すごい回転数で、タンクの量もすごい量必要です。
これはこれでブルワーとしては本望ですし、むしろ最高の形の人も多そうですね。
でも自分はパブも全力でやりたいので、この仕込み数だと一人じゃ厳しいなと。そうなると、小さい規模感で、年間どれくらいの人にビールをどれくらい飲んでもらいたいのかなって考えます。

そういう考えのきっかけにも大きなところを見るのは大事なのかなと思ってきました。
大きいところは大きいところで悩みがあるはずで、小さいところは小さいところなりの悩みがあります。
敵を知り己を知れば百戦殆うからず、ですから色んなものを体験するのはとても糧になるはずです。

というわけで、色んなところに研修にいくことがメリットに溢れているように書いてきましたが、実はこれは資金面でみると結構ハードです。

研修の期間は自分で初めに設定する

色んなところで学ぶのが身になるとポッと出の僕が力説しても全く影響力がない(かもしれない)のは、資金面のことを一切考えていないからだと思います。

一度小さい醸造所を見に行くとわかるのですが、基本的に醸造という仕事量に関しては一人で十分です。それが良いかどうか別にして、仕事量だけでいえば賄えます。
なので相当のアウトプットや利点がない限り醸造を手伝うからといって快く給料を出してくれるところは少ないかと思います。ただそれくらいのアウトプットができる人はもう基本的に独立できるでしょうし、どこかのヘッドブルワーに引き抜きされるとは思います。
僕が大阪の某ブルワリーで醸造家として働きたいですと言ったときは経験者の方でも順番を待っている方がたくさんいるから、最初はずっと下積みですと正直におっしゃっていただけました。本当に感謝しています。

なので、上記のように経験者でない僕みたいな研修生が現場で勉強するには、無給でこつこつ近くで勉強しつつ、帰ってからもオンラインや本でガリガリ勉強して、空いた時間はホームブルーに当てていくのが一番楽というか、てっとりばやいです。採用がどうだとか入ってくるとやっぱり時間がかかります。

休みの日の活動に関しては、もちろん息抜きは必要ですので、やっぱり週一くらいでぱっと遊んだ方がいいとは思いますが。笑

で、見出しのように期間を設定するのを推奨するには理由が個人的に理由があります。
一つは、貯金です。ホームブルーを一つとってみてもなかなかお金がかかります。アメリカみたいに自由におうちでやれますよー、色んなショップがありますよーじゃないので、通販で手に入れる必要があります。それだけじゃなくて、美味しいビールを飲むのもかなり勉強になるし、美味しいスイーツを食べるのもすごく参考になります。これが結構お金かかります。笑

給料が0なので、この状態をどのくらいの長さで続けるのかは最初に設定しないと後でアッ、バイトしないとやってけないや、でもバイトしてたら勉強する時間ないや、ってなっちゃいます。そうなっちゃうと、何のための研修期間なのかわかりません。もちろん個人差あると思いますが。

僕は研修は2年までと決めています。長いでしょうか、短いでしょうか。
個人的には無給で2年やれるのは25歳にしては、クッソ長いと思います。笑
普通はそんな貯金ないはずですから。(ないって言って笑)

僕の場合は特別で、かなり大きな交通事故にあいまして、それの保険でぎりちょん2年ならいけるかなって感じです。もちろん節約をしたうえでの大丈夫ですが。
なのでもし僕と同じ世代の方がいたら、色んな状況あるかと思いますが、半年くらいでしょうか研修として色々回れるのは。

もう一つの理由は、期間を儲けることで目的がはっきりしてくる気がするからです。
なんのための期間なのか、なにしたほうがいいのかなって。優秀な人は最初からできそうですが、僕は全くそれができません。。。
なので、期間を設定してあげる必要がありました、僕は。笑

それにいつまでに独立するって決めておく方がやる気も出ます!!

そもそもどうやって研修先を見つけるか

ここまで当たり前のように研修先での話をしてきましたが、そもそもどうやって研修させてもらうのかということに触れてきませんでした。

ポイントは一つ。

人に聞いて、直談判。

以上!笑

どうしてかというと、ブルワリーは先も申した通り、基本的に作業をする人の人では足りています。なので、大きなところでない限りアシスタントブルワーを募集するということはあまりないと思います。
詰まるところ、気に入ったところに直談判!自分が大切にするポイントにあうところを探して、直接メールを打つ!が手っ取り早いです。

僕は、やりたい規模感と同じところ、かつ醸造の経験よりも知識がしっかりしている方のところで勉強したいという考えがありました。
もちろん醸造は経験からくる知識も非常に重要ですが、それは働いた今わかったことで、当初はやっぱりビールというのは科学的な飲み物なので勉強したり、論文をたくさん読んだ人がブルワーとしてのあるべき姿だと固く信じていました。
今も根本的な軸は変わっていませんが、まだまだ解明されていない醸造のことがたくさんあるなかで、最終的に頼るのは自分の経験になることも学びました。

ホームブリューで培うもの、工場で肌身で学ぶもの、たくさんあると思います。

長くなりましたが、最後に僕がおもうことは、

”ビールほんと素敵!!”

につきます。笑
ビールを通じることでたっくさんの人と出会えましたし、とにかく自分の人生を豊かにしてくれました。
兄はバーで、姉は漫画で、僕はサッポロ黒ラベルとの出会いが人生を大きく変えることとなりました。

ここまで読んでいただけた方はビール大好き党の人が大半だと思いますので、みなさんのビアライフがもっともっと素敵なものになるような空間やビールを提供できたら、こんなハッピーライフはありません。

ご精読ほんとうにありがとうございました。
自己満足の誕生日ブログでした。おいしいバースデービール仕込まなくちゃ🍺
乾杯🍺

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]

COMMENTS

  • Comments ( 2 )
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  1. By kumakura

    応援しています。とても勉強になります。
    パスタビールの記事待ってます。

    • By Ble_

      kumakuraさん、ありがとうございます!!!
      返信遅くなって申し訳ありません。
      パスタビールそうですよね、、、はやいところ更新しないといけませんね、
      今週中に頑張ってみます!!!!!笑

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