West Coast IPA【復活なるか?超王道IPA👑】
こんにちは!やざわです。谷澤。
八王子にあるLamp Coffeeさんというお店を発見しまして、コーヒーを飲みながら最近は記事を書いています。収益化はあまり乗り気じゃなかったのですが、先日アマゾンのアフィエイトを申し込んでみました。落ちました。
向いてないようです。
さて、今回は【West Coast IPA】について色々考えてみることにしましょう。
あふれ出る柑橘系のアロマ、透き通った綺麗な琥珀色、そして溌剌とした芯のある苦み。アメリカのみならず、多くの大陸を席捲したスタイルであることは間違いないはずです。
しかし、近年は苦みを避ける傾向にビール業界は傾倒していると分析されがちです。代表格がJuicy and Hazy ですね。みんな大好き。作ってないところなんてあるの?と思ってしまうくらい素晴らしいスタイルです。
さて、そんなWest Coast IPAを定義、有名どころ、作るときのポイントなど、色んな角度から書いてみようと思います!
では早速行きましょう!
Definition/定義 を探そう
まずは、何を持ってして west coast IPA(以下、wcIPA) なんでしょうか。
実のところ、ブルワーズアソシエーション:通称BA が出しているビアスタイルガイドライン2019には、このスタイルの記載がありません。
近いところで言うと、American-Style Imperial or Double India Pale Ale でしょうか。
クリアさ:チルヘイズは低温では多少出る。ドライホップによる濁りはどの温度帯でも出る。
モルト感:モルト感は淡く、少しキャラメルも出てくる。
ホップ感:非常に強い。様々なホップの香りが層になっている。でも尖っちゃいけない。
苦み:強いが、渋くあってはいけない。
イーストの特徴:アルコール感は感じやすい。フルーティーなエステルは中~高。ダイアセチルはダメ。
その他:ホップの新鮮さが命。酸化やエイジングはいけない。
こんな所でしょうか。アルコール度数はAVBの方が一般的です。IBUは相当高いです。
これがウェストコーストIPAの骨格であることは間違いないとは思いますが、厳密に定義はしないでおきます。
クリアさとモルトのバランスが重要な要素なのかと思っています。イーストの特徴があまり出るスタイルだと思っていませんでしたが、その辺は自信がないので、書かんときます。笑
What's the famous?【有名なwcIPA】
百聞は一飲に如かずですから、とりあえず有名なwcIPAを紹介してみます!Ratebeerというビール評価サイトでも非常に高評価なものを2つ紹介してみたいと思います!
びあマやオンラインショップでも簡単に入手できると思います!
Sculpin-Ballast Point
カリフォルニア州にある醸造所バラストポイントが様々なバージョンをつくる【Sculpin/スカルピン】
カレイ?のようなキャラを見たことある方も多いのではないでしょうか。
ホップのレイヤー数がとても多く、初めて飲んだときは”ん?”となりました。二口目、温度があがってから、と色んな表情を一本で見せてくれるので、満足度が計り知れません。
苦みのバランスもとても良く、リフレッシュ感を与えくれます。飲むもの拒まず、万人に受けるはずのビールですから、是非購入してみて下さい。
ABV[alcohol by volume]:7.0%
IBU[International bittering unit]:70
SCULPIN | Ballast Point
Our Sculpin IPA is a great example of what got us into brewing in the first place. After years of experimenting, we knew hopping an ale at five separate stages would produce something special. The result ended up being this gold-medal winning IPA, whose inspired use of hops creates hints of apricot, peach, mango and...
Stone IPA-Stone Brewing
お次も王道of王道ですね。StoneのIPAです。
苦みが鋭く、シャープな印象があるストーンですが、中でもIPAはずっとクラフトビアシーンのトップオブザヘッドに鎮座してるいって過言ではありません。
柑橘の香りが強かった印象です!今飲むとまた感覚が違うのでしょうか。
こちらも非常にポピュラーで入手しやすいはずです。
ABV:6.9%
IBU:71
Stone Brewing
Stone Brewing is a brewery headquartered in Escondido, California, USA. Founded in 1996 in San Marcos, California, it is the largest brewery in Southern California.
みなさんのお勧め
お次は僕のTwitterで募集した、みなさんのお勧めです。
ビールラバーが紹介するIPAです。どんなものが集まるか僕も非常に楽しみです!!!
Citra Slam-Revision
一発目は、みんな大好きリヴィジョンのwcIPA。名前から分かるように、シトラホップのシングル。
苦みの引きが綺麗ということで、wcIPAとしては最高の褒め言葉ではないでしょうか。
シトラホップを’バニラっぽい’と表現される方がよくいるなーという印象でしたが、リヴィジョンの公式にも”甘いフルーツのような”とありますね。
心地よいホップの香りは甘美で、苦みもクリーンでリフレッシング。
うーん。これはもう僕も飲んでみたさしかない🍻
AVB:6.5%
IBU:50
REVISION Brewing Company - Age verification
null
IPA-AleSmith
サンディエゴのブルワリーといえば、エールスミスを想像するビアラバーの方も多いでしょうか。
なんなら、カリフォルニア州のブルワリーといえば、といっても想像する人が多いのは想像に難くないですね。そんなエールスミスのIPAは緑色の缶にシンプルなデザインで、見たことあるのではないでしょうか。
複雑なホップの層の香りを支えるのは、クリスピーで芯のあるモルトの存在感。グレープフルーツやタンジェリンの柑橘から南国のフルーツ模様まで広がる香りと、すこし植物らしい苦みのバランスが抜群。これぞ王道のIPA。
ABV:7.3%
IBU:73
AleSmith Brewing Company - San Diego's Premier Craft Brewery
San Diego's Premier Craft Brewery
Bodhizafa-Georgetown Brewing
2002年にシアトルに創業したジョージタウンから、Bodhizafa。
公式の説明をみると、1バレルあたり、5ポンド以上のホップを投入してますよ。ざっくり20g/Lくらいだと思っていいですね。さて、これが多いか少ないかはそれぞれのブルワリーの感覚ですね。日本国内でも50g/L以上使うところもあったりしますね。
”この大量のホップがIPAをbodhiliciousにするんだよ!”
と記載してあります。【bodhi+delicious】の造語でしょうか。bodhiはヨガペディアで”enlightment, awaking"と説明されていました。僕には深い理解がきっと無理なので、みなさん自由に解釈してください。笑
このビールの最大の特徴はオーツを使っていること。シルキーな口当たりだそうで、これまでのクリスピーなビールとは一線を画すような味わいなのでしょうか。このオーツはwcIPAとは、対を成すようなHazy IPAによく使われることの多い原料ですね。タンパク質の多さから口当たりを演出でき、大量のドライホップに由来するポリフェノールと結合して濁りを作ります。こちらのビールは濁ってなさそうだなー。不思議。
特徴が非常にはっきりしたビールですね。オンラインショップで買えるときはみなさま、是非一度飲んでみてはどうですか。感想教えて下さい。
AVB:6.9%
IBU:??
Georgetown Brewing Company | Darn Tasty Beer.
For Normal People Darn tasty IPA For Beer Lovers This IPA gets its light silky texture from rolled oats. The flavor and aroma both express mandarin and citrus all around. Over five pounds of hops per barrel makes this IPA truly Bodhilicious.
その他のおすすめ
他にも親切なビアラバーの方に紹介されましたウェストコーストIPAがあります!
しかし、全て紹介すると分量がとんでもないことになるので、紹介だけにとどめさせて頂きます!
- Hop Shocker-Melbin:
- Straight outta Newport-Rouge:
メルビンもローグもくそほど有名ですね。やはりしっかりしたところが作るビールはスタイルに限らず、必ずばっちりハマる人と出会いますね。
最近のドリンカブルブームにちょっと飽きたぞ、がっつり一本で終わらせたい!そんな気分のとき、迷ったら今回のリストからチョイスしてみてはいかがですか🎈
美味しいwcIPAをどうやって作る?
次のトピックは、美味しいwcIPAを作るにはどうすればいいのかを紹介してみようと思います。
答えはないのですが、大切なポイントはそれぞれありますので、自分なりの考えも加えながら議論してみたいと思います。
《非常に長く、議論がたくさん起きそうです!醸造に興味のある方だけ覗いてみて下さい!笑》
10 Tips on Homebrewing West Coast IPA from Beachwood Brewing
ビーチウッドブルーイングの方がwcIPAに関して10個のポイントを紹介してくれます!
簡潔に内容を説明して、適宜解説が出来たらと思います!
こちらが原文です!
➊It’s all about the base malt
まずはとにかくにもビールはモルトからでしょう。
ベースモルトは、93 ~ 97%を占めることが多く、2-rowでよいらしい。
1種類のベースモルトだけじゃなくてミックスして、少し深みを与えてもいい。まずは20~50%の割合でlight canadian pilsner malt を試すことからお勧めとのこと。
一発目から面白いトピックです。ベースモルトは酵素力が高く、メイラードがあまり進行していないため発酵性糖分がほとんどで構成されていることが多いです。僕もだいたいモルトごとにレシピを組むことが多いのですが、ベースモルトで産地ごとに割合を決めるという視点はなかったです。
例を出すと、当店のご飯は新潟県産コシヒカリと山形県産のコシヒカリを7:3で混ぜて炊いております。的な。
ただ、ベルギーのモルトはかなり味が違うなという印象はありますね。
ベースモルトとよく併せて話題になることの多いDMS。ベースモルトから発生することの多いDMSは、煮沸することで飛ぶと考えられています。どうしてかというと、S-methylmethionine[SMM]というDMSの前駆体(蝶の前駆体がサナギ的な)が煮沸で飛ぶから、結果的にDMSも減るでしょという感じです。(2019/11/20訂正)
調べ直したら、ちょっと認識がちがってました。SMMという前駆体があるのは事実なんですが、こいつは30℃くらいからDMSに変身します。で、DMSが煮沸で飛びます。でもDMSに変身してないやつも残ってるようなので結果的にそいつらも飛びます。
なので、SMM自体はどのマッシング肯定でも大概DMSになります。
ちなみに、DMSOという前駆体も発酵中に発生します。これも似たような温度帯でDMSになるので、結局最終的にはビールにDMSが出る可能性がつきまといます。ですが、このDMSOは酵母が吸着してくれるので、健全な発酵をすれば問題なく処理できるはずです。
ベースモルト比率が高いことの多いスタイルですので、煮沸時間は60分よりも90分でやる方が推奨されています。
ホッピーでクリスピーな味わいが特徴のwcIPAには、DMSはあまり合いませんと考えている方が多いからこのような説明になります。
でも、あえてDMSを演出したい場合は、無理にロングボイルする必要がありません。作り方に王道はあっても、正解はありません。探求に探求を重ねる面白さがクラフト文化です🎈
❷Avoid a too-thin body
ベースモルトは100%ではありませんでした。100%でやってもいいんでしょうけど、切れすぎてしまって、ボディーがちょっと弱いぞ、とのことです。
特にこのスタイルはドライなフィニッシュにするためにマッシュの温度が通常より低い事が多いです。シュガーチェーンを短くするわけです。βアミラーゼに多く働いてもらうという方が分かりやすいでしょうか。
そこでお勧めしているのが、デキストリン系モルトを2~4%混ぜてみて、とのことでした。
デキストリン系モルトというのは、その名の通り、デキストリンがベースモルトよりも多く含有するモルトです。一番代表的なのが、カラピルスでしょうか。焙煎具合がちょうど良く、非常に色んなビールに良く使われます。
デキストリンモルトというモルトもありますが、結構濃いですね。好みに合わせて、やってみましょう。
デキストリン(デンプンとマルトースの中間的存在)は、アミロースに比べて複雑な構造になっていますので、大きな糖として残りやすいです。糖として残ると、それがビールのボディーになるわけです。
ちなみにデキストリンのような糖は単純にグルコースが繋がっているだけなのに、名前がいくつもあります。アミロース、アミロペクチン、デキストリン、マルトデキストリン、、、
違いはグルコースの繋がり方と、DE(Dextrose equivalent)と呼ばれる糖化率の違いです。その糖分から単糖がどれくらい取れるかと考えてもらえるとわかりやすいですね。
ちなみに、デキストリンはDE:1~13%くらいとされています。
❸Add complexity with crystal malt
さらにボディーに深みを加えて、複雑性を出してみようぜと提案されたのがクリスタルモルトです。
クリスタル45を1~3%の範囲で使ってみて。とのことです。
クリスタルモルトというのは、焙煎機(roaster)で仕上げられているモルトです。焙煎具合によって、名前につく数字が変わっていきます。今回のクリスタル45というのは、焦げ茶くらいですね。
余談ですが、クリスタルモルトとカラメルモルトの違いをご存じでしょうか。
よく地域ごとの呼び方と思われている方が多いでしょうが、実は、焙煎方法にあります。クリスタルモルトは必ず焙煎機を使用しています。カラメルモルトは一部ではキルニング(kilning)で仕上げられることがあります。キルニングでは温度が上がりきらないこともあるので、確実に焙煎されているものを使いたいときはクリスタルモルトにするのがベター。のはず。
と、勉強しました。間違ってたらごめんちょ。
❹Mash low, aim dry
前述の通り、αアミラーゼよりもβアミラーゼを優先して働かせるとシュガーチェーンが短くなります。
ただ、それはベースモルトを95%付近で使っているレシピに言えることかもなーという僕なりの考えがありますが、あくまで仮説です。
温度ごとに酵素が添加できる設備があると仮定すると、βを高温で働かせてからαを低温で働かせる方がマルトースを大量に製造させることができます。実際、酵素を添加すればいいだけなんですけど、コストがかかるのと、そこまでしなくても、、、っていうのはあるんでしょうね。
さて、脱線した話を戻して、今回推奨されている糖化温度は65.5℃です!普通は67~68℃ですので、少し低いですね。酵素は非常に繊細なので、温度変化は1℃でも大きな影響を与えます。
このようにして作ったマッシュは、発酵度合い(Attenuation)が80~83%までいくと想定されています。
比重で説明します。比重(OG)が1.040のマッシュが、最終比重(FG)が1.008ビールになっていたら見かけ上の発酵度合いは80%ちょうどです。40のうち、32が発酵で使われたとみるので、32/40*100=80%
では、FGが1.000なら?
そうです。100%です。
見かけ上はすべての糖分が発酵により、アルコールと二酸化炭素になったと見なせます。どうして見かけ上かというと、アルコールは水より軽いので、発生したアルコール分、比重は低くなります。
ですので、本当に100%糖分が発酵したとすると、比重は1.000を下回ります。ただ、いちいちアルコール度数まで計算するのは面倒ですので、見かけ上でやるのが一般的だと思います。
❺Adjust mash pH
マッシングの際には、pH調整を心がけましょう。と。
これはどのスタイルにも言えることですが、ウェストコーストIPAではどのようなpHが理想的でしょうか。
今回推奨されているpH=【5.2~5.6】
普通!笑
これは酵素がよく働く範囲ですし、色の淡いビールの場合はこの範囲くらいが好ましいとされていることが多いです。これ以上高いとポリフェノールが多く抽出されます環境になります。ホップを大量に使うレシピですから、綺麗な苦み以外の要素は取り除きたいですね。ポリフェノールは渋みの原因になります。今回は認めませんよ!ということですね。
ちなみにこれ以上低いと、今度は酵素が働きづらくなります。サワービールはどうなんだ!と疑問に思うでしょうか。サワービールは酵素を十分に働かせて、普通のビールと同じような麦汁を取ってから、いざ乳酸菌を働かせてpHが下がりますので酵素には影響がありません。
Sour Mashという言葉もありますが、ウイスキーで使う言葉ですね。ビールでは使わない。はず。
ちなみに、スタウトなどの濃色ビールを作るときはこの基準が少し高めにアジャストされることがよくあります。さてどうしてでしょうか?
よく言われているのは、濃色麦芽はpHを下げやすいからです。高温で焙煎されて焦げた麦芽は、pHを一定に調整するバッファー成分が壊れるようで、だからpHを下げる要因になると。
よくスタウトなんかで”あれ?後味なんか酸っぱくない?”となりませんか?水質がもしかしたら合ってない可能性はあるかもですね。
❻Layer hop character
シングルホップでもいいし、色んなホップを使ってもいい。重要なのは、使い方。
この辺は色んな文献を読んで、自分なりのベストな引き出しを増やしていくしかありません。先人に学び、次の世代に繋ぐ、そんな環境を作りたいものです。
さて、ここではビタリングにはlow-cohumulone(低コフムロン)のものをチョイスしてみては?と勧めれています。
これにはすぐにイエスと僕は言えません。
そもそもどうしてコフムロンを嫌がる人が多いかを簡単に説明します。
コフムロンは苦みの要因の一つです。ホップによる苦みの要因は6つ分けられます。フムロン、コフムロン、アドフムロンの3種に加えて、それぞれがcis-,trans-型をもちます。計6つですね。これらを総称して、(ホップの)α酸と呼びます。これらが熱によってイソ化することで苦み物質になります。
そして、コフムロンの苦みは、”残りやすく、綺麗じゃない”かもしれないという研究結果があったんだっけかと思います。だから、結構忌み嫌う人が多いわけですね。
でもね!!
1990年の研究で、OSU(oregon state university:ビールの研究では最高峰)が行ったパネラー実験では、
《コフムロンが多いホップと、コフムロンが少ないホップとを比べると”違いはわかりません”》
となったんですね。なんなら、コフムロンの多いホップの苦みがもっとも余韻が少ないですよ、なんてパネリストが分析したんです。
詳細はHOPSって本を読んでみて下さい。
だから、僕個人としては、コフムロンを避けるチョイスはしないようにと思っています。なんならコフムロン多いやつをチョイスしたいとすら思っています。
が!自由ですので、芯のある考えに基づいてチョイスされたら、なんでも正解だと思います!
❼Multiple hop additions
ホップの香りに層をつくるというのと似たような感じですね。
多岐にわたって、ホップを入れるタイミングを変えてみようということが推奨されています。ここでは15分おきにやってみてはどうかと。
で、ワールプールはヘビーにホップつかっちゃえと。
ここで重要なのは、タイミングをいじることが推奨されているのであって、沢山ホップを入れろということじゃないです。ワールプールではたくさんいれろと書いてありますが。
ホップの香り成分は揮発性のものが多く、熱を加えるほどどんどん香りが飛んでいきます。しかし100%なくなるわけじゃなくて、微妙に残ります。また、熱によって香り物質が変成することも考えれます。
で、ここが重要なのですが、ホップの香りの閾値(人間が感知できる瞬間の値)というのは物質が複合すると大きくなったり小さくなったりします。
どういうことかというと、
ラベンダーの香りは花が3つでようやく『あっ!ラベンダーの香りがする!』となり、バラの香りは5つ分で閾値だとします。では、ラベンダーとバラを混ぜた香りはどうだと思いますか?実はこれがラベンダー2個とバラ3つ分で閾値、となることがあるんです。
つまり、ホップは添加するタイミングを変えることで、最終的に残る香り物質の量が細かくズレます。そうなると、多種多様な香り物質が色んな量で存在することになります。様々な香りの閾値をズラす可能性があるので、新しい香りを生み出せることもあるはずです。
ですので、同じホップを使用していても、入れるタイミングを少しずつズラすというのは非常に有用なホップの使い方ではないでしょうか。
❽Dry hop for aromatics
お待ちかねのドライホップ。現代のブルワリーで行っていないところはほぼないでしょう。
今回推奨されているのは、2~3pound/barrel [7~10g/L]
15.5℃で浸漬させるのがいいよ!と言っています。これは、イーストに影響をあたえずらく、十分ホップの香りが抽出できる温度だからでしょう。詳しいことはホップクリープの記事を読んでみて下さい。
Hop Creep【Dry Hop と二次発酵の不思議な関係】
また、ドライホップは最大でも7日間。それ以上は良くないよ、とおっしゃています。
❾Set up yeast for success
お次は、イースト。良い発酵は良いビールを作りますというのは大前提として、きっちりスターターで立ち上げてから使いましょうと薦めています。議論する前にイーストの紹介です。
【WLP 001、Wyeast 1056】
こちらがおすすめの酵母だそうですね。俗に言う、アメリカンエールイーストの超代表格。
使っている酵母はサフのUS-05と全く一緒のはずです。癖のないイーストで、バランス良く、邪魔をしないのが最大の特徴です。
この酵母数を目指してやってみてとありますが、それがこちらです。
【1 mil cells/mL/°P】
こちらは、俗に言う【ピッチレート=1.00】という状態です。麦汁に対して、どれくらい酵母を入れるかという指標です。
同じピッチレートでも、ビールの量、糖度、が高くなれば必要な酵母の量も多くなります。ちなみにどうしてピッチレートを計算する必要があるかというと、イーストの特徴を出すか、出さないかを選ぶ必要があるからです。
一般的には、ピッチレートが低いと、エステル香がたくさん出て、酵母の特徴がよく出やすいです。逆の場合は、まさにその逆です。簡単に説明すると、酵母の数が少ないと一匹あたりの餌の数が多いので繁殖できる割合が大きいです。エステル香は代謝由来ですので、活動が活発なほど沢山でます。なんで、発酵温度が高くてもエステル香は出やすい傾向にあります。
今回のウェストコーストIPAでは、ピッチレートが1.00を推奨していますから、バランスのよい酵母感でやってみましょうということですね。NE系だと0.75とかでやったりするでしょうか。
❿Clarify
最後になります。
この透明度というのは、僕はかなり重要なウェストコーストIPAの特徴だと思っています。個人的にですけど、透明なほど、クリスピーな味わいを起因させてくれるんですよね。脳内に。
本題ですが、濁りの原因はポリフェノールとタンパク質が大きく絡みます。ウェストコーストIPAはタンパク質がそこまで多くないことが普通ですので、問題はポリフェノールです。
こちらはドライホップ由来が多いですが、南半球のホップはポリフェノールが多いから気をつけてと言っています。初耳です。毬花が大きいのか、植物部分が多いんでしょうか。
清澄材を使うのを薦めています。ドライホップにはゼラチンが有効とはよく言います。科学的にどうだこうだというのは、イオンが絡んできてややこしいので、僕には聞かないで下さい。笑
むしろ丁寧に教えてくれる人、募集中。
まとめ
非常に長かった10のアドバイスでした。
これらに加えて、あとは酸素をなるべくシャットアウトすること、ガスボリュームは2.5、などが推奨されていました。
酸素を噛まさないのは、当然として、ガスボリュームはそれぞれ思うところがあると思うので、一旦2.5でやってみて、調整するのがいいでしょうか。
また、今回のは”ウェストコーストIPAはこう作れ!!”ではなくて、”こう作っていますが、真似してもいいよ?”です。
学んだ上で、違うと思われたら、無理に寄せる必要は全くありません。
たくさん議論しましょう!
終わりに
もし最後まで読まれた方がいらっしゃいましたら、感謝でいっぱいです😂
最初は分けようと思ったんですが、1つにまとめてしまいました。
今度はモルトスペックの続きでも上げようと思います!
おいしいウェストコーストIPAを僕も将来は必ず作りたいと思っています。色んな方とたくさん議論が発生して、日本の中でもテクニカルが独自に伸びていけるところまで来たら最高ですね。
疲れた!笑
お疲れ様でした。今日はこの辺で🎈
COMMENTS
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ちょうど、Revision のCitra SlamやWest coast brewing のStarwatcher のようなIPAをhomebrewしようと思い調べていたのでとても参考になりました。
特にモルト周りの説明はなかなか出てこないので勉強になります。今後の記事も楽しみにしております。
コメントありがとうございます!
おおおお、素晴らしいですね、お家でホッピーなビールのクオリティーを出すには良いレシピと、徹底した酸素の除去が求められてくると思います
IPAを作るときにモルトバランスにも配慮がいくのはとても素晴らしいことだと思います!
お役に立てるか分かりませんが、是非納得のいくようなクリスピーでホッピーで最高なビールが”どこかのお家”で完成することを祈っています!lol