こんにちは!やざわです。
stand fmなるもので、ラジオ配信をすることにしました!笑
定期的にやるのか、ブログの記事を更新したらやるのか分かりませんが、ゆる~くやっていきたいなと。
みなさんがビールの醸造というものを楽しめる材料になれば、それだけで幸いです。
ビールが少しだけ楽しくなるチャンネル | stand.fm
ゆるくビールについて共有します。最近感動した飲み物はセブンイレブンのホットカフェラテです。よろしくお願いします。
今回は、ビールの醸造の歴史近代編ということで、19世紀から現在までのものを簡単に紹介していきたいと思います!
19世紀
実は、現代の醸造技術の基礎的な部分はほとんどこの辺りに集約されてきます。科学技術の発達が指数関数的に伸びてきたのも大きいでしょうし、花がぱっと開いていきます。
1810年:C6H12O6→
Joseph Gay-Lussac は、グルコースがエタノールと二酸化炭素に分解される公式をつくりました。今では、高校化学2(だよね?)の有機化学で勉強する内容ですね。
こういう一歩一歩の研究を通じて、徐々に点と点が線になってくるのが感じ取れますね。
しかし、まだこのときは、この式が実際にどこで発生して何が担っているのかまで分かっていません。
1817年:Drum Roaster
Daniel Wheelerは、ドラムロースターを発明し、強く焙煎されたモルトを作ることを可能にした。より強く焙煎できるからなんだよ?と思われますが、そこには品質よりも深い問題がありました。
実はというとそれまでは、Porterなどの濃色ビールは着色料を使用してビールを黒くしていたこともあったようです。しかし、1816年に、着色料の使用が禁止されたました。着色料並のより濃い色の麦芽が求められ、強い火力の必要性が高まったわけです。
ちなみに、品質的な話で言うと、高温で焙煎するのとしないのでは生産効率も違うはずだし、できるモルトの質も変わるはずです。Caramel malt と Christal malt の違いはローストを使っているかどうかだったはず。伝統的なイギリスのChristal malt はロースターを使用して作られています。Caramel malt はキルンという焙煎機を使用して作っている場合と、ロースターを使う場合どちらもあるようです。ロースターを使っている方がカラメル化もよく進んでいて、よりデキストリンが多く残るはずです。
レシピでC20, C60とかありますが、Caraなのか、Christalなのか少し考えてからチョイスしてもいいかもしれませんね。
1837年:IT IS ALIVE
Charles Cagniard de la Tour, Friedrich Traugott Kützing , Theodor Schwannの三人はイーストが生き物であることを発見しました。特にSchwannは、パスツールの後の研究の基礎となる発酵の実験を行いました。
きたーー!!笑
遂にイーストが生物であることも判明したようです。生き物と分かるとどれほど科学が進むか計り知れません。酵母の管理という概念がしっかり誕生するだろうし、研究の幅も一気に広がります。例えば、もしこの時代に酵素をタンパク質ではなく、一つの生き物と捉えていたらどんな醸造学が発展したでしょうか。それはそれで面白いかも。
1857年:Yeast Makes Alcohol
近代醸造学の最も偉大な功績と言っても過言ではないはずです。Louis Pasteur/パスツール により、発酵は酵母が行っていて、糖分をアルコールに変えていることが発見されました。
砂糖がアルコールと二酸化炭素に変わる発酵という式が完成して、酵母が生き物であることが判明して、その酵母が発酵を行っていることが発見されてきたという流れです。
酵母がいないと発酵が起きないという事項は、大変重要です。今まで”なんとなく発酵してた”ものが、酵母さえ働かせる環境を整えることで、必ず発酵するわけですから。素晴らしいの一言。
1870年:Pastorianus登場
パスツールの研究により大きく発展したビール醸造学の世界では、どんどん研究が進んでいきます。
Max Reess により、下面発酵酵母は" saccharomyces pastorianus"と命名されました。実はその40年後くらいにHansen というカールスバーグ醸造所の学者により同じ酵母が saccharomyces carlsbergensis と名付けられました。異なる名前なので、違う酵母のようですが、1985年に名前が前者に統一されました。
もっと後の研究では、この酵母は2種類の異なるイーストの交配で生まれたものということが分かります。もう少しだけ詳しい内容を別の記事にまとめているので、良かったらどうぞ👇
1873年:Refrigerator
Carl von Linde は、初めて実用的な冷蔵システムを開発しました。冷蔵設備がきちんと整うことがどんなに素晴らしいことかというと、ビールがいつでも冷えた状態で飲めますね!笑
冗談はさておく、冷蔵設備が整うことでビールの管理が飛躍的に上昇しました。特にコンタミ【汚染】を防げやすくなったところなどですね。
1879年:Beer is Clear!
ビールのフィルター/ろ過装置が開発されました。それまでは当たり前のようにビールに残存していた酵母を取り除くことも可能になりました。
見た目がクリアになるだけでなく、最終的に酵母がビールに残っているとどうなるのかを比較できるようになったことも醸造技術の向上に大きく役立ちます。
1881年:純粋培養
カールスバーグ醸造所の研究者Hansenにより、酵母の純粋培養が成功しました。
酵母を再利用するときは、slurryといってビールと酵母が混じり合った液体を発酵容器から抜き取るか、上面に浮かんでいる酵母を取ったりして培養することが多いのですがそれらには酵母以外のものも沢山含まれています。可能性として別な菌が入っていることもありえます。
純粋培養は、シャレーに酵母オンリーを載っけて寒天台地の上で培養します。今でこそ酵母単体を買うことができますが、この当時は酵母のやり取りはslurryを買うか、ハウスイーストを培養するかしかなかったんでしょうね。
1892年:crown cork
クラウン/王冠 が開発されました。ボトルビールにほぼ100%付いてます。しかし、これの開発もかなり最近です。
王冠のギザギザは21個で固定の値になっているのは聞いたことがあるかもしれません。この当時に開発された形が今でも規格として通っているのは地味にすごい。不満を感じてないのでそれ以上研究する必要がないということなのでしょうか。
でも王冠ってしっかり閉まりすぎてると、炭酸ガスかけ過ぎてるビールが開けた瞬間に危ないよね。一度、海外のhomebrewされたボトルビールで野生酵母に汚染されてて、ずーっと発酵が続いていたボトルを開けたことがあります。まじで爆発しました。
1890年:瓶詰めライン
王冠が発明されたことにより、これまでの固い固いコルクを押し込む必要もなくなります。瓶詰めをされたことがある人はわかると思いますが、ちょちょいと蓋を閉めることができます。
もちろんそうなると開発されたのは、自動瓶詰めマシン。大きなパワーが必要ない機械ですから、詰めては閉めて。詰めては閉めてです。
自動瓶詰めマシンの開発も素晴らしく、当たり前のようにカウンタープレッシャーといって、瓶内を二酸化炭素や窒素ガスで充填する技術が初期装備されるようになりました。この当時はさすがにないよね?
20世紀
ついに現代にも突入しそうです。日本の法律的にはまだお酒が飲めるひとは20世紀生まれですから(2020/03/29現在)、かなり近寄ってきた感がありますね。
1909年:pHの測定
ビールの醸造では、pHを計ることが推奨されています。糖度を測るようにpHも毎回きちんと計る必要がありますが、計る理由は酵素と酵母の働きなど(もちろん他のものにも大きな影響を与える)がpHによっても影響されるからです。
それらの研究が進んできたことで、ビール醸造にもpHを計ろうという概念が持ち込まれました。これも先ほど紹介したカールスバーグ醸造所のラボが導入したようです。
1920:禁酒法
アメリカで禁酒令が制定されました。名前の通りで、飲酒のためのアルコール製造や輸入、販売などあらゆる行為が禁止されました。
13年間続いたのですが、禁酒法の前後で1000近くあったアメリカのブルワリーは300ちょっとにまで減ってしまいました。日本で起きる未来もあるかもしれませんが、そうなったときに備えてやっぱりノンアルコールビールの製造も訓練しておかないといけないかもですね!
データで見たりしても面白いので、年代別のアメリカのブルワリーデータなど興味あればパーっと見てみてください。
National Beer Sales & Production Data | Brewers Association
Overall U.S. beer volume sales were down 1% in 2018, whereas craft brewer sales continued to grow at a rate of 4% by volume, reaching 13.2% of the U.S. beer market by volume. Craft production grew the most for microbreweries.
1936年:Artificial Carbonation
炭酸ガスを強制的にかける方法が開発されていきました。これにはきちんとした流れがあって、非常に面白いです。
それまでは、ずっと瓶内で二次発酵させて炭酸ガスをつけることになっていました。しかし、上で紹介したように酵母のフィルターが開発されたので、酵母を取り除いたビールは瓶内二次することができません。その影響もあって、強制カーボ(カーボネーションの略)の技術が発達したわけです。
現代のビール醸造では、手間がかからないので無濾過だろうと、ほとんどが詰める最終段階で二酸化炭素を加圧してかけて出荷しています。この技術が確立したのは1936年のようですが、実はもっと前から炭酸ガスを液体につけようという研究はありました。
1767年 Englandで、Joseph Priestleyという方が開発した方法があります。
carbonate water by suspending a bowl of water over a beer vat in a brewery
水の入った容器をビールの入った容器の上に吊るして、水に炭酸をつける
なんと原始的なやり方でしょうか。ビールから発生した二酸化炭素を水に添加するという。どうでしょう、夏休みの実験にぴったりだと思いませんか。
現代
お疲れさまでした!現代までの醸造技術の歴史を振り返ってきました。最後に2000年代に起きた研究を一つ紹介したいと思います!
2009年:特殊な大麦の開発
かなり専門的な話になりますが、大麦の研究もがんがんに進んでいます。
デンマークの研究所で、LOX活性がない大麦が開発されました。LOXとは、lipid oxygenase(リポキシゲナーゼ)のことで、不飽和脂肪酸に酸素をくっつける酵素のことです。特にビール醸造においては、LOXの活性により、trans-2-nonenalという成分と関係があることが分かっています。
俗にいう”カードボード臭”です。段ボール臭と訳すことがあるようですが、僕個人としてアメリカのカードボードを嗅いだことがないので日本の段ボールと臭いが一緒なのか分かりません。カードボード買うか。
この酵素活性がないことで、最終的にビールに特定の香り成分を減らしたりすることができる可能性が出てきました。
まとめ
これで本当に終わりです。
長ーくなってしまいましたが、どうだったでしょうか。個人的には強制カーボの発明あたりとかすごく面白く勉強させてもらいました!是非、みなさんの好きもコメントなどでくれると嬉しいです🎈
また、standfmというラジオアプリで音声放送にも使用かなと思いますので、使い分けてくれたら嬉しいです☺
ではでは🎈
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