【いまいち】Bock/ボックの歴史【ピンとこない代表】

【いまいち】Bock/ボックの歴史【ピンとこない代表】

こんばんは!やざわです。
寒いときにはモルティーなビールが飲みたくなるよねという会話した人は今日はボックにしましょう。

さて、今回はビアスタイルの紹介含め、作り方や歴史にちょっとだけ触れていきたいと思います。歴史部分とスタイル部分で分けてやろうと思います!
主役は題名の通りで【Bock/ボック】
聞いたことあるけど、いまいち知らんっていう僕と同士の人も多いのではないでしょうか。そんなピンとこないビール代表のBockについて紐解いていきましょう。

参考文献は主にBYOやAll about beerからですが、それ以外にも様々な記事や書籍から情報を拝借しています。

Maibock and Helles Bock - All About Beer

Nowadays, beer lovers can turn to seasonal brews at virtually any time of the year. New season-specific styles, such as fresh hop and pumpkin ale, have taken a seat at the table with more reverent names such as oktoberbest, doppelbock and winter warmers. Many seasonals were originally brewed for celebrations, or when ambient conditions or...

Bock簡単自己紹介

とにもかくにも、ボックに「はじめまして」の方もいらっしゃると思うので、現代における、ボックの自己紹介を簡単にしておきたいと思います。

ラガービール/下面発酵
でもエールバージョンもある
生まれはドイツのEinbeck
モルティーで、ハイアルコール

こんな感じでしょうか。
歴史に関しては僕は専門家じゃないので記事を丸々信じ込んでいます。笑

さて、ボックというラガースタイルのビールはドイツ生まれです。そもそも飲んだことある人の方が多いかどうか微妙なラインですよね。今回は歴史だけにしておいて、次の記事ではビアスタイルに足を入れます。

が、しかしですよ。
ちょっと文献ごとに言ってることが違うのか、僕の英語力に問題があるのか分かりませんが統一したイメージがわきませんでした。ですので怪しい部分があるな?と思いながら読んでください!笑

歴史から攻めてみる

いまから述べる歴史は様々な文献を読み、やざわがまとめ上げた歴史です。
受験の問題でボックの歴史を出題されても、僕は一切責任を負いません。が、ビールをご馳走するくらいはします笑

生まれはミュンヘン?

Bockの生まれはミュンヘンではないです。よく勘違いする人がいるけどね。的な文章がよく並んでいましたが、僕はそんなことすら知りませんでした。

とにもかくにも、Bockの起源は、Einbeckというドイツの都市にあるようです。
このように勘違いされる理由は必ずあるはずです。その理由を追っていきましょう。まずは、ボックの誕生からです。

ボックの誕生日を語るには、なぜか必ず出てくる13世紀の「ハンザ同盟」なるもの。どうせよく分からないので読んでませんが、多分貿易の中心的な感じだったのだと思います、アインベックが。
そして、その同盟を通じてアインベックのビールが他の地域のビールと明確に差別化され、人気を博しました。

アインベックのビール

アインベックでは小麦も大麦も栽培されていましたので、そのどちらもがビールに使用されていた可能性があります。作られたアインベックのビールは以下のような特徴を持っていました。

度数が高い
(比較的)淡色
上面発酵
ホップの効いたウィートビア

これは現代のボックとは少し異なる様相を奏でています。
記事の表現を採用するならば、

濃いアルト~ヴァイツェンボックの間の何か
something along the lines of weizenbock or strong altbier

ということでしょう。

このビールこそがボックの始まりなのですが、このビールが他の地域ではなくアインベックで作られたルーツは一体どこでしょうか🎈
ちなみにアインベックのブルワーがボックと呼んだわけではなく、後に紹介するバイエルンの人達がアインベックを略して”ボック”と呼んでいたそうですね。

技術でなく、地理的環境

現代ならば、差別化の要因は技術や知識のことが多いでしょうか。
しかし、この時代は地理的環境の差異が大きくビールの品質に影響したようです。ビールが地理的影響を受けそうな部分はどの辺だと思いますか?🎈

原材料の違い
原材料の入手難易度の違い
発酵温度
農民の生活スタイル

色々ありそうです。僕がAll about beer の記事では、精麦(モルティング/Malting)と保管方法に影響が出たと主張されています。ボックは14世紀には既に作られていて、精麦自体の技術は16世紀頃から活発になったようですし、それまでどうやって製麦していたのか知りませんが、アインベックでは地理的環境の差異から少し異なった麦芽を作ることができたそうです。

その地理的環境とは、他よりも「乾燥した空気」です。
その空気が生んだモルトは【他の地域の麦芽よりも薄い色をしていた】ようです。

wikipedia調べでは、ミュンヘンとアインベックの気候はミュンヘンの方が平均気温は低いですが、年間降水量平均が300mmもアインベックは少ないです。
ミュンヘンと比較すれば乾燥していると言っても間違いないはずです。

乾燥した空気は精麦にどんな影響を与えるでしょうか。
精麦は、麦を水に浸して、発芽したら乾燥させる必要があります。そこで、全ての発芽した麦は何らかの方法で乾燥させられます。それが、kilnという機械だったり、roasterだったりします。14世紀当時はどんな方法でやっていたかは知りませんが、恐らくストーヴや暖炉の火を利用して煎ったりしてたんじゃないでしょうか(推論)。
で、こうやって熱源で乾燥させる方法は、メイラード反応を引き起こします。当時の精麦のクオリティーは現代より低いので糖分量もアミノ酸も多くは無いはずですが、それでも進行することはします。

メイラード反応は麦芽を褐色あるいはもっと濃い色にします。同じ時間でも温度が高ければ高いほど、その効果は大きくなります。
乾燥した気候のアインベックでは、麦芽の乾燥に特別な熱源はいらず、風の通しのよい倉庫に入れて保管しておくだけいいということなら、メイラード反応の効果は少ないはずです。室温でも進行する反応ですから、効果がないわけではないですが、火を入れて焙煎するよりは遙かに少ないです。それ故に、アインベックの麦芽は色が薄くなった。はずです。

その他にも、

水が周りの地域よりソフト(軟水より)
ホップの栽培地として優れていた

という点があげられていました。でも、これも地理的要因ですね。

一口に水の硬度だけで出来上がるビールの品質は語ることができませんが、軟水と硬水では味わいに影響が出るのは間違いありません。
ホップの栽培地として栄えていたのなら質の良いホップが手に入りますし、当時の保存技術を考えれば新鮮なホップを手に入れられることがどれほどビール醸造に利益をもたらすか想像に難くありません。

Hofbräuhaus/ホフブロイハウス の誕生

Hofbräuhaus

そうして利点が重なったアインベックのブルワリーは、そのテクニックの流出を難く阻みます。時は流れ、16世紀終わり。ドイツ、バイエルン州ミュンヘンに一つの醸造所が出来ます。

その名もHofbräuhaus/ホフブロイハウス

1597年にウィルヘルム5世がミュンヘンに創業したブルワリーです。このブルワリーがミュンヘンにボックというスタイルを持ち込むことになります。しかし創業当初は、”Brown” breweryとして認知されていたようです。おそらく、デュンケルを作っていたんだと思います。
デュンケルはミュンヘンのビアスタイルで、ミューニッヒというモルトをメインに使用したビールでフルボディーが特徴のラガービールです。現代だと色味の幅が結構大きいですかね。真っ黒なやつもあります。

しかし、モルティーなビールという並びではアインベックのビールにはまだまだ及ばなかったようで、ミュンヘンでもアインベックで作られるようなビールが飲みたいという需要が高まります。
1614年、アインベックから一人のブルワー:Elias Pilcher がミュンヘンに招集されました。彼は、アインベックの伝統的な技法を守り、冬の間ラガーリングをし、春に売り出しました。

そのビールを彼は、【Maibock】と呼びました。

こうして遂にアインベックの技術とミュンヘンの技術がセッションを始めます。ミュンヘンの人達の好みを取り入れられ、下面発酵でホップの効かせも柔らかくしました。新たな技術はバイエルン全体に広まりました。

Maifest

こうしてMaibockは、ミュンヘンで作られました。
しかし、作り方としてはアインベックのブルワーが基礎を持ってきたので当然似たようなものがアインベックにもあるはずです。そのビールはMay version のボックとして認知されました。

冬に仕込んで、春先【May/5月】に飲むボック。
そんなシーズナルで素敵なビールを祝うセレモニーがドイツにあるようですね。それがMaifestです。

どんなお祭りかは記事を読んでもらえれば分かりますが、maibock意外にも色々な季節を感じるものが並ぶそうですね。ワインとかもあるようです。

German Maifest (Mayfest) Traditions

Maifest celebrates the arrival of spring, nature's bright reawakening after winter's cold and darkness. Maifest (Mayfest) has its roots in one of mankind's oldest traditions! What was an ancient pagan festival eventually took on Christian religious significance, and has evolved to become a colorful, joyous part of European history and culture, with distinctive traditions like the dancing around the maypole.

まとめ

とりあえずボックというビールの歴史についてサラッと、ふわっと触れてみました。納得いかないところもあるかもしれませんが、多めにみてくれると嬉しいです😂

アインベックで生まれ、ミュンヘンでmaibockとして導入されたアインベックのビール:bock。
バイエルンの人達の呼び方がbockで、それが現在でもずっとボックと呼ばれていますが、本来アインベックで呼ばれていた名前はなんなんでしょうね。1年後の谷澤君の宿題にします。

次回は、スタイルについてもう具体的に説明をしていきたいと思います。
traditional bock, helles bock, maibock, doppel bock, weizen bock, eisbockの6種類。どれも明確に違うようですが、最初の3つが鬼門な気しかしない!笑
自分の勉強と思って、頑張って更新します!

ではお休みなさい!

ANTELOPEブルワー谷澤 優気
お酒が好きで醸造の世界に入る。日本各地での研修期間を経て、2020年3月滋賀県野洲市で国内初のクラフトミードハウス・ANTELOPE株式会社を共同創立。
「ちょっと深く知るとお酒はもっと楽しい」をテーマに醸造学を発信中。

志賀→浜松→掛川→滋賀県野洲市[now!!]

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